今月のソロプレイは、新規の仮想戦ジャンルから、「大艦巨砲主義」(旧GJ)シナリオ7「鋼鉄のヴァリアント」です。「大艦巨砲主義」は旧GJ誌に掲載された、シンプル砲撃戦ですが、ルールを極限まで削っているので、インスト5分でプレイできます。その一方で、砲門1つずつが砲撃を行うこだわり!
 
ゲームについて、簡単に説明します。1ターンは、10フェイズに別れていて、各艦の移動力によって、移動できるフェイズが決まります。移動は前方に1ヘクスのみで、終了後に60度回頭ができます。ただし、回頭したフェイズは射撃ができません。
 
続いて、砲撃ですが、先に触れたとおり、備砲1門(!)に砲撃を行います。と言っても、射程を確認して、1d6するのみ。
 
ここで莢叉(命中)となると、次に実際の有効弾数を判定します。口径が大きいほど、効果が高いようになっています。
 
次に有効弾数分だけ1d6して、命中箇所を判定します。遠距離だと甲板(垂直方向)に、近距離だと舷側(水兵方向)にあたる確率が高いです。
 
最後に、命中箇所の装甲と貫通力を比べて、貫通力が上回れば(以上で)、1損害を与えます。
 
船体の耐久ボックスが、全て、破壊されると、撃沈。上部構造物が、全て、破壊されると、移動/戦闘不能になります。備砲については、破壊にならなくても、1/6の確率でターレットが損傷し、砲撃不能になります。
 
今回のシナリオ「鋼鉄のヴァリアント」は、仮想戦記「鋼鉄のリヴァイアサン」における戦艦同士の砲撃戦を描いたものです。現本の作者は「八八艦隊物語」で大艦巨砲主義を描いた横山信義氏。
 
極東ソ連海軍で「鋼鉄のリヴァイアサン」と評された世界最大の巨艦「ヴァツーチン」と、アメリカ第7艦隊のハイテク戦艦、「リンカーン」「ジェファーソン」が、日本海で激突するという仮想戦記ですが・・・戦艦大和の2-3倍以上(!)の基準排水量を持つ、大海獣同士の戦いとなります。
 
この3艦が、どのくらい凄いかを、我が戦艦大和と比較してみると・・・。
戦艦大和
全長:263m、基準排水量64,000トン、45口径46cm砲:3連装3基
ヴァツーチン
全長:400m、基準排水量218,000トン、58口径25インチ(64cm)砲3連装3基9門
リンカーン、ジェファーソン
全長:350m、基準排水量152,000トン、60口径22インチ(56cm)砲3連装3基9門
 
ゲームとしては、リンカーン、ジェファーソンで砲門数は敵の2倍ですが、至近距離(5ヘクス以内)でなければ、ヴァツーチンの装甲を撃ち抜くことはできません。よって、可能な限り接近し、砲門の多さを生かして、上部構造物や主砲の故障を狙う作戦です。
 
ヴァツーチンの25inch砲は、甲板なら距離にかかわらず、敵の装甲を貫けるので、できるだけ遠距離を保って、優位を持ち続けたいところです。
 
なお、今回のプレイでは、ヘクス系の大きめな「幻の八八艦隊」(AD)のマップを流用しています。ユニットは、オリジナル制作です。
 
まず、セットアップですが、後配置のアメリカ第7艦隊は、丁字戦法を目論見、ヴァツーチンの前方25ヘクスに配置します。
 
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第1ターンの第1フェイズ、丁字を嫌ったヴァツーチンは、60度の回頭を行います。これに対して、第7艦隊の2隻の22inch砲が降り注ぎ、2発の命中弾を出しますが、厚い装甲に弾かれて効果なし。
 
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第2フェイズに、砲撃を開始したヴァツーチンは、命中弾1発をジェファーソンに与え、船体及び上部構造物に1ヒットずつを与えます。数を頼みのアメリカ軍は、倍する砲門数で5発の命中を与えますが、損害を与えたのは、装甲のない上部構造物のみになります。
 
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第3-4フェイズは、ともに複数の命中弾を出し、ジェファーソンが3ヒットを受けますが、ヴァツーチンは、全てをはじき返し、損傷なし。
 
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第5フェイズ、ヴァツーチンとの距離が20ヘクスとなったジェファーソンは、遠距離となり、砲撃精度が格段に上昇します(6のみ命中から、5-6で命中に)。が、やはり、装甲の差は健在で、ヴァツーチンが一方的に成果を上げます。
 
第6フェイズ、これ以上の接近を嫌ったヴァツーチンが、再び回頭し、両軍は同航戦に移ります。ジェファーソンとリンカーンは、距離を詰めるために、一旦、回頭を試みます。
 
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第7フェイズ、大きな転機が訪れます。ヴァツーチンが丁字を取って優位に砲撃を浴びせ、ジェファーソンの上部構造物に2ヒットを与えます。第7艦隊の戦艦は、前方の砲塔のみを使用しての砲撃(砲門数2/3)でしたが、4発の命中弾と砲撃の冴えを見せます。続いて、振った命中箇所判定では、ヴァツーチンの主砲塔に4発が命中!
厚い装甲が全てはじき返したものの、直撃した1発によりターレットが損傷し、第3砲塔が使用不能に陥ります。
 
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第8フェイズ、これで砲門数では3倍となったアメリカ軍は、十分に戦えると判断し、同航戦に持ち込みます。一時的に命中率が落ちたものの、確実に両軍の損害は増していきます。
 
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第1ターン終了時には、両軍の損害は以下のようになります。
ヴァツーチン …上部構造物10ヒット、第3砲塔使用不能
ジェファーソン…船体9ヒット、上部構造物3ヒット
リンカーン  …損害なし
 
激しさを増した第2ターン、両軍の損害は鰻登りになります。第1-4フェイズの砲撃により、ジェファーソンは船体にさらに10ヒットを記録。ヴァツーチンもヴァイタルパートは損傷無いものの、上部構造物に5ヒットを受けます。
 
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第5フェイズ、さらに大きな転機が両軍に訪れます。砲門数は1/3でも正確な砲撃により4ヒットを与えたヴァツーチンの一発が、ジェファーソンの第1砲塔を直撃!貫通は免れたものの、25inch砲弾の衝撃でこの砲塔が使用不能に!
 
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と、同時にジェファーソン、リンカーンの放った一斉砲撃が7発の命中弾を出し、うち、4発が砲塔を直撃。今度は、ヴァツーチン第2砲塔が故障!せっかく、詰めかかった砲門数は、3:15と5倍にまで広がってしまいます。
 
こうなると、いくら世界最大の戦艦とはいえ、なすすべもなく、一方的な攻撃を受ける羽目に。ヴァツーチンの砲撃が急にあたらなくなったのと対照的に、第7艦隊の砲撃は正確を極め、平均で5発以上の命中弾を出します。
 
そして、ついに第9フェイズには、唯一残っていた第1砲塔までが、直撃弾によるターレットのゆがみで故障!攻撃の手段を失ったヴァツーチンの撤退により、ゲームは終了となりました。(仮想戦記上での)史実を覆した、アメリカ第7艦隊の勝利でした。
 
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ちなみに、終了時の損害ですが、
ヴァツーチン …上部構造物22ヒット(!)、全砲門使用不能
ジェファーソン…船体22ヒット、上部構造物6ヒット
リンカーン  …損害なし