今月のソロ第一弾は、「ウォーゲームハンドブック2017」から「小牧・長久手の戦い」(CMJ)です。今年はほとんどソロAARを発表してこなかったので、年末に駆け込みを狙っています。このアイテムは、いわゆる作戦級の小牧戦役で、チットドリブンを採用しています。変わっているのは、チットは任意の1ユニットのみが移動を行うというもので、全てのチット引きが終了すると、戦闘になるシステムです。

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両軍ともユニット数は10程度しかないのですが、チットドリブンによって、思わぬ浸透や猛烈な反撃が可能になります。この時代らしく(砦・城内以外は)強ZOCであり、敵より大きな戦力の側は離脱ができます。

そのターンに一番はじめのチットを引いた陣営が、戦闘の主導権(組み合わせと戦闘順の決定)を取れます。戦闘は、お互いにdrし、総戦闘力を差し引きして、ヒットポイントを決めます。1ヒットにつき1へクス後退か、1ステップロスを選択します。後退は最大2へクスなので、3ヒットを与えれば、確実に1ステップロスを与えらえ、4ヒットならば全滅します。戦力差がなければ、お互いに1/12で全滅させられる可能性が有り、包囲していると10/36となります。戦闘はよい意味で振れが大きく、完全優位な戦闘でまさかの番狂わせや一か八かの特攻が成り立ちます。

地形効果は河川が-1。城・砦は+2であり、城・砦のみスタックが許されるので、2ユニット以上がいると、まず、落ちません。ZOC の無効化と相まって、城・砦効果が絶妙で、濃尾平野を舞台に、激しい機動戦と攻城戦が起こります。セットアップは指定です。敵よりも多くの城・砦を取ることが義務づけられている羽柴軍が、攻勢側となります。徳川・織田連合軍は、それを阻止するか、秀吉を討ち取れば勝利です。

第1ターン、その後の展開を大きく左右する第一手は、徳川・織田連合軍。徳川勢は、すぐさま、敵の進攻路に当たる上条へ酒井忠次を派遣します。主導権は、徳川・織田連合軍にあるため、砦にいる先手が非戦闘を宣言すれば、このターンの攻城戦は起こらず、1ターンの時間稼ぎができます。羽柴軍はやむなく3戦力部隊で上条を包囲すると、犬山に秀吉主力を増援で送り込みます。

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第2ターン、今度は羽柴軍が主導権を取り、上条を巡る戦いが勃発します。両軍ともこの地域に増援をつぎ込み、二つの戦闘が起こります。

まず、本命の上条攻めですが、羽柴軍が3個部隊を投入したことにより、+1となります。結果、羽柴軍が強襲で押し切り、酒井隊に2ヒットを与えます。退却できれば生き伸びられたのですが、退路を遮断されていたため、城を枕に酒井忠次が討ち死にします。一方、-1の犠牲攻撃となった池田隊対井伊・徳川隊の戦闘は、家康の巧みな戦術により池田勢が全滅となります。

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第3ターン、この河川地帯を巡り、両軍は更なる増援をつぎ込み、4カ所で包囲し包囲される大乱戦となります。その結果、地の利を得ている徳川勢が劣勢を物ともせず、量の羽柴勢を押し返します。マイナス戦力にもかかわらず、関白秀次を討ち取り、堀直政を消耗させ、森可成を後退させます。が、強引な城攻めをせざるを得なかった家康勢が、大打撃を受けて討ち死にしてしまいます。

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第4ターン、両軍ともかなりの消耗をしましたが、羽柴軍は数の優位を生かして、岩崎方面に向けて攻勢を続けます。羽柴軍は消耗した堀直政が壊滅し、徳川・織田連合軍は丹羽氏次が猛烈な正面攻撃で全滅します。


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最終の第5ターン、砦・城が同数のため、このままでは敗北となる羽柴軍は、トリッキーな機動で敵を翻弄し、チャンスをうかがいます。その本命は、守備隊が激減している小牧城!大胆な機動で敵の背後に回り込んだ秀吉本隊が、前後から小牧城を包囲し、+1の強襲を掛けます。勝率は4割程度でしたが・・・見事に成功!濃尾平野の要衝-小牧城に千成瓢箪の馬印が翻り、羽柴軍の勝利となりました。

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このプレイタイムは、わずか30分ほど。極めてシンプルなルールながら、史実通りの激しい機動戦が再現できる逸品でしょう。今度は、ぜひ、対戦したいものです。