「mitsuさん、年末ですから、バルジでも行きませんか?」作戦級の鬼教官-Das Reichさんから電話がありまして。お誘いは非常にうれしかったのですが、12月は休日出勤のため、千葉会には参加できず。その旨を伝えると「では、年末は、いつ空いていますか?」おお、やる気満々じゃないですか!(笑い)早速、二つ返事で、オフ会を開くことにしました。

近々、「mitsuのひとりごと」で触れますが、バルジ大作戦(CMJ)は非常に想い入れの深い作品でして・・・。特にここ数年は、作戦級の鬼-Das Reichさんと対戦を重ね、JWC版のリプレイにも関わらせてもらいました。
せっかく来てくれるのだから、Das Reichさんをギャフンと言わせたい(うそ!いい対戦がしたい)。この1ヶ月ほど、考えていた作戦がありまして・・・。その名は「北の防人」作戦(仮称)!
二人の中では、鹿内ギャンビットを使えば、ドイツ軍はかなり戦える(中央突破ができれば有利になるくらい)というところまで、バランスが傾いていました。鹿内ギャンビットとは、全部または大半の装甲師団を中央部に集中し、リエージュ付近で北部戦線を突破。その後、連合軍の北部戦線を丸ごと包囲殲滅して、北端の増援へクスから突破する作戦です。詳しくは、JWC版ブックレット「バルジの神話」をご覧ください。
これに対して、連合軍の機甲グループによる機動防御で対抗できるのですが、最近の対戦では、第9機甲師団主力をサン・ビット防衛に使わざるを得ず。また、ハイトの空挺降下とスコルツィーニのコマンド部隊による遅滞戦術で、バストーニュに空挺師団が入れない展開もあり、ドイツ軍有利というものでした。
なんとか、これを打開できないか?思いついたのが、北部重視のセットアップです。具体的には・・・

[北部]
・サン・ビットには、スタックが許されている第2歩兵師団の2個連隊を配置する。
・第2歩兵師団の前線は、残りの1個連隊で包囲を防ぐ。さらに、第99歩兵師団の1個連隊を境界線に配置し、第1ターンの突破を防ぐ。
・第14騎兵連隊は、第99歩兵師団の連隊と入れ替えて、生き残る確率を増やす。
・さらに、第4歩兵師団と第9機甲師団の各1個連隊をスパとヴェルヴィエに配置し、北部戦線の強化および後方予備とする。
・サン・ビットには、スタックが許されている第2歩兵師団の2個連隊を配置する。
・第2歩兵師団の前線は、残りの1個連隊で包囲を防ぐ。さらに、第99歩兵師団の1個連隊を境界線に配置し、第1ターンの突破を防ぐ。
・第14騎兵連隊は、第99歩兵師団の連隊と入れ替えて、生き残る確率を増やす。
・さらに、第4歩兵師団と第9機甲師団の各1個連隊をスパとヴェルヴィエに配置し、北部戦線の強化および後方予備とする。
[中央部]
・ベストセットアップ通り。ただし、クレルボー前面の歩兵連隊は、突破を防ぐために、#2430へ配置する。
・ベストセットアップ通り。ただし、クレルボー前面の歩兵連隊は、突破を防ぐために、#2430へ配置する。
[南部]
・第4歩兵師団の各1個連隊を#1537と#1852に配置する。これにより、#1537の1個連隊が2:1攻撃で除去されない限り(確率は84%)、第2ターンの南部からの突破は防げる(第1ターンに#1337へ移動)。
・第9機甲師団の2個連隊をバストーニュに配置する。第2ターン増援の第10機甲師団とともに、遅滞戦術と機動防御のための機甲グループを編成する。
・第4歩兵師団の各1個連隊を#1537と#1852に配置する。これにより、#1537の1個連隊が2:1攻撃で除去されない限り(確率は84%)、第2ターンの南部からの突破は防げる(第1ターンに#1337へ移動)。
・第9機甲師団の2個連隊をバストーニュに配置する。第2ターン増援の第10機甲師団とともに、遅滞戦術と機動防御のための機甲グループを編成する。
ちなみに、今回は、第4歩兵師団の各1個連隊を#1537に配置し忘れ、第2ターンの機甲増援が2ユニット減少(突破に対する守り)するミスがありました。上記はそれを受けた改良セットアップです。
この新セットアップを見た途端、Das Reichさんの顔付きが一変します。「う~ん」と長考しながら、いつもの2倍以上の時間をかけてセットアップをします。これだけで十分、試してみる価値があるゾと、わずかながら気持ちが有利に。
第1ターン、悩んだ末にドイツ軍は、それぞれ正面の敵を最大の比率で攻撃します。特に第2歩兵師団戦区は兵力が薄かったのですが、地形効果により7:1攻撃を受けるのは1ユニットのみ。drにも恵まれなかったこともあり、結果的には壊滅したユニットはわずか1ユニットですみます。また、中央の第5装甲軍でも、兵力を分散したため、封鎖部隊が生き残り、中央突破ならず。新セットアップに加え、drのふれにより、かなり厳しいスタートになります。


連合軍は、当初の計画に沿って粛々と戦線を整理し、後方の予備や生き残った第14騎兵連隊で北部戦線を強化します。

第2ターン、ドイツ軍は敵の撤収によりルートの開けた中央部を、第5装甲軍が前進します。が、3ユニットが籠もるサン・ビットは強襲できず、包囲にとどめます。第6SS装甲軍は、正面の敵が強力なため、主力を迂回させ、第9歩兵師団を攻撃します。が、いずれも最大で3:1しかなりたたず、若干の損害を与えたのみです。

一方、ハイトはいつも通りSW付近に空挺降下し、連合軍の空挺増援を遅延。さらにこちらの配置ミスにより、南部から突破を許し、第10機甲師団の増援2ユニットが拘束できたのが、せめてもの救いか。

連合軍はさらなる増援をつぎ込んで、北部戦線を強化。早くも中央部まで戦線を形成し、第5装甲軍の突進を防ぎます。バストーニュでは機甲と生き残りの歩兵による防御ドームを完成し、空挺増援を待ちます。

第3ターン、このままでは鹿内ギャンビット(北部戦線崩壊)は不可能と踏んだドイツ軍は、戦略の展開をはかります。第5装甲軍/第7軍と装甲増援をつぎ込んでの南部攻撃!
先駆けとして、間隙からコマンド部隊が浸透し、第2次移動でヌシャトーへの道路を封鎖していまいます。これで、空挺増援はバストーニュにもヌシャトーへも到着できず。これはまいった!本来なら、第2ターンの機甲増援があれば防げたのですが、これを見過ごさず、きわめて有効な機動を行ったDas Reichさんは、やはり尋常でない!同時に、正面から、バストーニュ・ドームを攻撃し、圧力をかけます。

南部戦線の危機に、連合軍も決断を迫られます。南部をどこまで守るのか、バストーニュをどうするか?冷静にVPを計算した上で出した答えは、バストーニュ籠城と南部の放棄(!)でした。もはやヌシャトーを救える確率は低く、中途半端にこだわって、兵力を失うと、60VPを与えかねないと判断したためでした。

第4ターン、第6SS装甲軍は相変わらず、正面強襲しかできず、最大で3:1攻撃の壁をこじ開けられず。

一方、南部は敵が撤退したため、今や主力となった第5装甲軍/第7軍肩すかしを食った形になり、兵力の転用に時間がかかります。それでも、第2次攻撃でマルシェ近郊の連合軍に攻撃をかけますが、一部装甲のみの攻撃では大きな戦果はなし。連合軍は、これを受け流す形で、ユイ方面への後退を続けます。

連合軍が最も苦しい第5ターン、ドイツ軍はスパ/ヴェルヴィエ正面とユイ方面で攻撃をかけますが、各戦線とも最大で3:1攻撃がやっと。踏みとどまった連合軍は、イギリス軍をミューズ川の守りに付け、次ターンの攻撃を待ちます。


第6ターン、ドイツ軍は勝利に向けて、最後の希望となる乾坤一擲の攻撃を行います。北部は抜けなかったものの、ユイ前面のアメリカ軍を3:1攻撃で後退させ、ついに突破口を開きます。第2次インパルスでとった策が・・・ユイの強襲!反撃の危険はあるものの、これを落として第8ターンまで維持できれば、十分に勝機がある!確率は1/6!

が、無情にも勝利の神はほほえまず。すかさず、連合軍は待機していたイギリス軍機甲旅団を投入し、包囲環を作っていたFB旅団を逆包囲し、これを殲滅します。

第7ターン、もはや、完全にイニシアチブが逆転しましたが・・・「まだだ、まだまだ!」Das Reichさんはまだあきらめていなかった!薄くなったミューズ戦線の一部をこじ開けると、そこから消耗した1個装甲敵弾兵連隊を突進させ、まさかのナミュール占領!一時的ですが、突破も合わせて、VPが60を超えます。なんという執念!

が、このために、防御戦線はどうしても薄くならざるをえませんでした。連合軍は、満を持して本格反攻を開始します。ミューズ戦線の東と西で攻勢をかけ、その中央部で突破に成功!後方に回り込んだ2個機甲師団弱がマルシェを奪還し、第5装甲軍の大多数の機械化部隊を包囲してしまいます。

同時に北部でも、連合軍最強の第2機甲師団がオイペン方面で攻勢に出て、ここを突破。ヴェルヴィエを攻めていた第1装甲師団を丸々、包囲します。

この時点で勝負ありでした。第8ターンの空軍の到来により、ドイツ軍はまともな機動ができず。やむなく、包囲内の第5装甲軍が低比率攻撃をかけるも、ほぼ壊滅しました。

結果的には・・・
・北部戦線の強化で第6SS装甲軍の封じ込めに成功。
・第5装甲軍は南部を席巻したものの、その分、中央/北部への左フックがいつもより遅れ、決定打を打てず(元からそれをするには、どうあっても兵力が不十分)。
と、新作戦の有効性が見えた一戦でした。
・北部戦線の強化で第6SS装甲軍の封じ込めに成功。
・第5装甲軍は南部を席巻したものの、その分、中央/北部への左フックがいつもより遅れ、決定打を打てず(元からそれをするには、どうあっても兵力が不十分)。
と、新作戦の有効性が見えた一戦でした。
対局後の感想戦も大いに盛り上がり。いつもは敗戦を悔しがるDas Reichさんが、とても晴れ晴れとした顔で、
「今度は、ドイツ軍の新たな対抗策を考えますよ」
「来年はバルジの年にしましょう!」
挙げ句の果ては「これで、まだ20年は戦える!」(お互い、ぼけていなければ、笑い)
「今度は、ドイツ軍の新たな対抗策を考えますよ」
「来年はバルジの年にしましょう!」
挙げ句の果ては「これで、まだ20年は戦える!」(お互い、ぼけていなければ、笑い)
今年最後の、そして濃密な対戦に感謝します。