今月のソロプレイ第一弾は、古き良きAH最盛期の戦術級アイテム「Panzer Leader」(AH)です。「Panzer Blitz」(AH)の西部戦線ヴァリアントであり、ノルマンディ上陸から、マーケットガーデン作戦、ラインの守り作戦までを20のシナリオで再現します。
 
実は、「Panzer Leader」(AH)は、高校時代に買った、はじめての戦術級アイテムでした。初めの購入者は知人で、休み時間に(!)シンプルなシナリオ20「レマーゲン」を楽しみました。が、知人はそれ以上の複雑さに耐えきれず、格安で転売したわけで・・・(笑い)。それ以来、いくつかのシナリオはソロプレイしたものの、間接射撃のプロットが祟って、ほとんど押し入れゲームになっていました。
 
今回、西部戦線ジャンルの立ち上げを機に、プレイを再開しようと思います。
 
基本システムは、至って簡単。ユニットは、各ターンに戦闘または移動のいずれかを行うのみです。戦闘は、直接射撃か間接射撃が主で、歩兵のみが近接突撃を行えます。攻撃側の兵装種別と防御側の装甲の有無で火力が決まり、総攻撃力と総防御力を整数比にして、戦闘結果表で判定します。敵を撃破するには最低で2:1が必要で(1/6)、4:1となると5/6で撃破できることになります。
 
今回は、以下の追加ルールを使用しています(あと2つはシチュエーションが合わず、未使用)。
歩兵の緊急移動
臨機射撃
 
選ばれたシナリオは、バルジの戦いから、シナリオ16 「バストーニュ:迫り来る危機」です。第101空挺師団の前衛部隊と装甲教導師団の偵察部隊が遭遇戦を行うもので、バストーニュ東方のARTAINの攻防を描きます。地図盤はわずか1枚で、かつ両軍とも歩兵が主力のため、ARTAIN周辺となる1/3程度しか使用しません。
 
まずは、セットアップですが、全て道路上にという制限があるため、ドイツ軍は歩兵のスタックを道路沿いに並べ、直接射撃を担うAFVと装輪装甲車を視認できない森林に配置します。一方の連合軍は、ARTAINのすぐ隣に4個歩兵小隊を置き、残りはやむなく視認外となる丘の背後に並べます。
 
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第1ターン、先攻の連合軍は、4個歩兵小隊に、3個シチュアート小隊をARTAIN市街へ突入させます。さらに、後方から迫撃砲を積んだ2個トラックが、猛烈な速度でARTAIN市街へ進入し、迫撃砲小隊を守備隊として下車させます。本来なら、臨機射撃を受けかねない状況ですが、市街地のカバー効果により、影響はありません。
 
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後攻のドイツ軍は、擲弾兵をスタックさせ、ARTAIN市街へ隣接し、敵の視認に成功します。
 
が、ここで、連合軍の一部隊から臨機射撃が!目標は、突撃戦闘の要の戦闘工兵。1:1の結果は、D!工兵が散開したので、突撃の1シフトが使えなくなります。それでも、残った歩兵スタック群がDD6とCC5へ近接突撃を敢行し、DD6のM5・歩兵スタックを散開状態にします。
 
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第2ターン、連合軍は群がる敵を照準にM7プリーストの集中砲撃を実施します。着弾は次ターンに。なんとか、ARTAIN市街へ増援を送り込みたい連合軍は、歩兵を道路沿いに接近させるとともに、一部を河川に進入させます。また、輸送の役割を終えたトラックを後方に下げ、緊急突入用に歩兵を乗車させます。
 
敵を視認して攻撃態勢の整ったドイツ軍は、まず、森林に潜んでいた装甲部隊が、DD6とCC5へ2:1(+1dr)の直接射撃を行います。結果は、ともにD(散開)状態。
 
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混乱し浮き足立つ敵に対し、歩兵のフルスタックが近接突撃を行います。D(散開)状態に加え、戦闘工兵のリードもあって、1:1及び2:1攻撃(ともに-2dr) が見事に成功し、2スタックを消滅させます。残ったのは、DD6で燃え上がるM5の残骸のみに。
 
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第3ターン、わずか1ターンの攻撃で全兵力の1/3を失った連合軍は、後方から歩兵を送り込んで防備を固める一方で、敵歩兵の主力-DD7の戦闘工兵スタックに、間接射撃を命中させます。その火力は、80戦力!4ユニットで分割したものの、それでも全ユニットが2:1攻撃の洗礼を受けます。
 
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結果は・・・たった1/6の確率で、突撃戦闘の屋台骨-戦闘工兵が壊滅!!以後、突撃の1シフトが使えなくなったわけで、これは痛い!!残りの全ての部隊もD状態になります。
 
怒り心頭のドイツ軍は、再び、AFV・装輪装甲車の直接射撃で、2スタックをD状態にし、仇討ちとばかりに近接突撃をかけますが・・・あろうことか、全てに失敗。流れは、完全に連合軍に。
 
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第4ターン、弾薬装填にいとまがないドイツ軍のAFVスタックに、再び、砲撃の嵐!M7プリーストの猛烈な砲撃がこれを襲います。その火力は、装甲効果にもかかわらず、40火力!結果、75mmと37mm砲を積んだ装甲車が炎上。対装甲火力は、一気に半減します。
 
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生き残ったⅢ号突撃砲は、突出しているDD6の敵歩兵1個小隊に照準を付け、4:1でこれを撃破します。が、それ以外の攻撃は、突撃の戦闘比が上がらず、1個スタックをD状態にするのみ。
 
第5ターン、敵火点の制圧に執念を燃やす連合軍は、再び、EE3の装甲スタックを砲撃。が、今度は4枚スタックにしていたため、1個装甲車小隊が撃破されるに留まります。
 
地に這うようにして生き延びたⅢ突が正確な射撃で、CC5の敵スタックを散開させますが、ああ、比率の落ちた(1:2の)近接突撃が、またもスカで、成果上がらず。第2ターン以降、撃破した敵は、わずかに1個小隊のみです。
 
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連合軍の猛砲撃か、ドイツ軍の強攻か?第6ターン、三度、EE3の装甲スタックを襲った砲撃は、装甲車2個小隊を散開状態にします。
 
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それでも引かないドイツ軍は、突撃砲の射撃が決まって、CC5の敵を散開状態に。折しも緊急移動で街を回り込んだ歩兵が到着し、突撃の戦闘比が1:1(-2dr)に戻ります。これをきっちり決めて、久しぶりに4ユニットを撃破!
 
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が、これが限界でした。第7ターン、直接射撃を担うAFVスタックのうち、2ユニットが4度目(!)の砲撃で撃破され、生き残ったのは、非力なLinxとⅢ突のみ。やむなく、北の森林へ撤退します。
 
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こうなると、直接射撃・突撃戦闘のコンビ攻撃が実施できず。敵を混乱させるのがやっと。
 
安全地帯に逃げ込んだ生き残りのAFVが市街地を攻撃しますが、drにも見放され、効果なし。
 
反対に、突撃を繰り返す擲弾兵スタックに目標を変えた、「僧侶」プリーストの火の洗礼が、次々とドイツ軍歩兵をなぎ倒します。
 
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出血しながらも突撃を繰り返すドイツ軍は次第に損耗し、戦局は膠着状態に陥ります。
 
結局、このまま、時間切れで連合軍の勝利となり、バストーニュ防衛の貴重な時間を作り出すことに成功しました。
 
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わずか3ヘクスの街を奪い合う、ミニゲームですが、ドイツ軍の射撃・突撃戦術と連合軍の猛砲撃が正面からぶつかり合う、激しい消耗戦でした。昔、プレイした時には、ここまで辿り着かずに、一度きりで目もくれなかった覚えがあります。きちんとプレイすれば、見るものはあるんですね~。
 
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以前、T誌に載っていたコメントでは、ドイツ軍圧勝。確かに戦闘工兵が不運で壊滅しなければ、最後はドイツ軍が寄り切りことが多いようです。が、連合軍もM7の強力無比な砲撃を楽しめるので、短時間で楽しむ分には、十分かと。
 
昔、Leaderを楽しんだ人、新たに始める人ともに、インストにはよいシナリオかも知れません。
 
<追記>
ちなみに、HJの日本語訳では、以下の特別ルールが抜けています。
「連合軍の迫撃砲ユニットは、ゲーム開始時にトラックに積載されている。」