今月のソロプレイ第一弾は、作戦戦術級の「ドイツ装甲師団長」(AD)です。しかも、最強のメジャーテーマである「西部戦線1944」アイテム。ああ、広げまいとしていた戦線を、またも拡散する結果に・・・(笑い)。補給(時間)がないときに限って、気持ちだけは前進したくなるんですよね(苦笑い)。
 
「ドイツ装甲師団長」(AD) は、スケール的には珍しい作戦戦術級のアイテムです。基本は、戦闘-移動を2回繰り返すだけのシンプルなものながら、砲兵による支援砲撃、兵科の組み合わせによる戦闘力の増減、各国軍のバイアスがかかったコマンド・コントロールなど、見た目以上に運用が「ハード」なアイテムです。
 
また、アドテクノスの特徴だった「変わったシナリオ」も多くあります。
シナリオ6「ワルキューレ」 
 ヒトラー暗殺計画が成功し、SSを率いて権力を握ったゲーリングと、国防軍を率いるロンメルが、ベルリンで戦う(!)とびきりの架空戦。
シナリオ7「スプリング・カム・ハズ」
 終戦間際のチェコスロバキアを部隊に、ジューコフのソ連軍とパットンのアメリカ軍が「第三次世界大戦」を始める夢の(?)架空戦。
シナリオ8「キャンペーン'44」
  一人の装甲師団長として、44年(!)の東部戦線を戦い抜くもの。8つのシナリオを行うが、ドイツ軍が消耗する装甲師団で戦う一方で、ソ連軍は毎回、強力な新編成(!)で圧倒します。ああ、いつか、やってみたい!
 
 今回のシナリオ5「リターン・マッチ」も、実際には戦わなかったイギリス第7機甲師団(+第50歩兵師団)とドイツ第21装甲師団が戦闘を行う半仮想戦ですが、上記に比べると可愛いものです(笑い)。
 
 事前のソロ演習で見えて来た展開は、以下の通りです。
・序盤は、イギリス軍が数の勢いで、ドイツ軍の前衛部隊を圧倒し、マップ中央に進出。
・あわやというタイミングで、ドイツ軍の増援が到着し、柔軟な指揮と強力な装甲部隊で反撃開始。
・中央付近で、消耗戦となりつつも、両軍とも隙を見て、敵マップ端への突破を狙う。
 
では、早速、ソロAARです。まず、ドイツ軍の初期配置ですが、北部の森林地帯から中央の都市部の道路上に、4個ほどの足止め部隊を置き、イギリス軍に遅滞戦術を行います。次に、マップ中央南の河川に主たる防衛陣地を引きます。兵力がやや不足気味ですが、危ない地点には二重戦線やリアクション部隊を配置し、増援到着までここで踏みとどまりたいものです。「戦いの神」たる砲兵は、当然、この主要陣地を守る後方に配置します。
 
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第1ターン、無人の野を行く第7機甲師団は、強行軍を行い、北部森林地帯の1ユニットを後退させます。第二次移動で強行軍をした戦車の一部が、森林地帯を抜けることに成功します。道路上が渋滞しているため、第50歩兵師団は迂回して、東側の平原を進行するようにします。
 
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対するドイツ軍は、ひたすら塹壕掘りとリアクションの準備に明け暮れます。
 
第2ターン、足止め部隊を高比率で排除しながら、イギリス軍が前進を続けます。が、効果的な遅滞戦術により、東部では荒地地帯で足が止まります。西部では強行軍を使っても、2ユニットのみが、主防衛線に接触するに留まります。
 
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ドイツ軍は、接触を受けなかった部隊が、塹壕を陣地に変更し、リアクション態勢を取って、敵の攻撃を待ち受けます。
 
ドイツ軍にとっては、増援が来るまでの正念場である第3ターンに、突入します。接触部隊が少ない連合軍は、それでも豊富な砲兵火力を投入して、敵の主防衛線に攻撃をかけます。
 
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川沿いの陣地を抜かれることは敗北に等しいドイツ軍も、なけなしの砲兵を投入して、阻止行動を行います。巧みなリアクションとタイミングのあった防御砲撃により、3:1以上の比率を立てさせず、1箇所のC(膠着)を除いては、全ての攻撃を撃退します。
 
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押すしかない連合軍は、ZOCを失った敵の脇をすり抜け、6個中隊の戦車が河川の渡河に成功します。
 
また、東部では、足止めの偵察中隊を包囲殲滅後、突進した戦車が最終ラインに到達します。
 
実質的に、最も連合軍の突破の可能性が高い、第4ターンに入ります。イギリス軍は、渡河済みの部隊に、河川越しの部隊、さらに砲兵をフル稼働して、敵の主防衛線の突破を目論みます。前ターンの膠着中に包囲していた偵察及び自動車化歩兵中隊に、15火力の制圧砲撃をたたき込んで、これを殲滅します。ドイツ軍は、あと、2箇所が崩壊すれば、この防衛線が機能しなくなる事態に追い込まれます。
 
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が、ここで、精鋭ドイツ軍が奇跡的を起こします。焦点となる#3429の突撃砲中隊に、連合軍のクロムウェルとスチュアートの混成部隊が強襲で2:1攻撃をかけましたが・・・その結果はAR! 強烈な待ち伏せで、イギリス軍戦車は算を乱して敗走し、スタックオーバーで混乱した1ユニットを失う羽目に。
 
これに勇気を得たドイツ軍は、中央部で渡河攻撃を行った歩戦合同の5個中隊に対し、装甲偵察中隊のリアクションとネーベルヴェルファーの阻止砲撃を行い(1:2)、敵を殲滅します。これで、増援到着まで主防衛線を守り抜くことに成功しました。
 
が、東部では、事態は急転します。最東端で陣地に籠もる自動車化歩兵に対し、クロムウェルとスチュアートの合同部隊が1:1攻撃を行い、見事にDRを勝ち取ります。開いた穴から、6個中隊が浸透し、後退した自動車化歩兵を包囲殲滅します。
 
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このまま、突破かと思いましたが、可能なユニットを全て突破させても、混乱しない可能性は期待値ちょうどだったので、やむを得ず、断念(ハウスルールで混乱状態で突破したユニットは勝利条件に含めないことにしています)。最北端の市街地と周辺の森林に薄い防衛線を引いて、次ターン以降の可能性にかけます。
 
やっと迎えたドイツ軍ターン、土俵際ギリギリまで追い詰められた国防軍に、待望の増援が到着します。第21装甲師団の主力!北部で突出した連合軍に対し、西及び南から反撃を開始します。これで、最南端の市街地を奪還したドイツ軍は、強行軍によりわずかな落伍を出しながらも、敵の前衛部隊を逆包囲することに成功します。
 
さらに中央部から西部には、装甲擲弾兵を中心にした大量のユニットが到着し、戦線を安定させます。
 
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第5ターン、完全に主客転倒した連合軍は、一転して塹壕構築をはじめ、防御態勢に移行します。唯一の攻撃は、包囲下の88ミリ対空砲中隊への制圧射撃でしたが、drも付いてこず、失敗に終わります。
 
続くドイツ軍ターンに、装甲師団による猛反撃が始まります。包囲下の3個中隊を攻撃し、敵の防御支援砲撃で、C(膠着)となりますが、ZOCを失った敵をすり抜けて、残りの部隊が突進し、ほぼ初期の防衛線を回復します。
 
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さらに、第6ターン、戦線中央の繋ぎ目のクロムウェルに目をつけたドイツ軍は、乾坤一擲の制圧射撃を実施します。2個のウェスペ中隊に、同じく2個のネーベルヴェルファー中隊が、弾薬無制限で猛砲撃を実施。4:1攻撃の結果は、DE!
 
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この間隙から、中央部の助攻部隊が強行軍で突進し、荒地を踏破。第50歩兵師団の警戒陣地を蹂躙し、北部の連合軍の退路を圧迫します。同時に南からの主力部隊が力押しを繰り返し、第50歩兵師団の前哨部隊が丸々、包囲されます。
 
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第7ターン、東部の危機に、イギリス軍は慌てて、西部の後方予備をシフトします。同時に、包囲寸前だった部隊が強行軍で前線を離れ、東端ギリギリを通って、かろうじて脱出に成功します。
 
これに対し、ドイツ軍は追撃の手をゆるめず、逃げ遅れた部隊に猛攻を加え、3個中隊を壊滅させます。さらに混乱部隊のZOCをすり抜け、浸透で荒地地域の半分以上を確保します。
 
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第8ターン、なおも東部での猛攻を受ける連合軍に、ミスが出ます。敵の正面に兵力と砲撃力を集中した結果、中央部との間隙が一箇所だけ、一線防御に。
 
機動力に富むドイツ軍は、ここに戦車中隊を投入し、4:1攻撃でDRにします。ZOCを失った機械化歩兵をすり抜け、3個戦車中隊が強行軍で突破!敵後方の森林地帯の入口に辿り着きます。
 
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第9ターン、もはや、なりふり構っていられない連合軍は、前線から全ての戦車と偵察中隊を引き抜くと、これまた、強行軍でドイツ軍の後を追います。確率的には分が悪かったのですが(混乱する確率は1/2)、奇跡的に1ユニットの混乱のみで、敵の前面にどうにか到着します。
 
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ドイツ軍は、薄くなった前線に主力が連続攻撃を加え、ついに中央の町を制圧。第50歩兵師団を包囲下に置きます。同時に、マップ脇を突進した5個中隊が突破に成功し、後方に進出します。
 
森林地帯のドイツ軍は、さらに西の森林を迂回し、阻止不可能な平地寸前まで辿り着きます。
 
最終の第10ターン、連合軍は一か八かの賭けで、最後の弾薬を消費し、敵の先頭部隊にセクストンによる制圧砲撃を実施しましたが、結果は・・・はずれ。無理を承知で生き残った戦車/偵察による阻止戦線を引き、運を天に委ねます。
 
この最終防衛線に対し、Ⅳ号戦車/Ⅲ号突撃砲の戦闘団が猛攻を加え、これを崩壊させます。そして、第二次移動で強行軍を実施し、3個ユニットが北端からの突破に成功。混乱チェックもきっちりクリアして、勝利条件を満たしました。
 
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勝負とは直接かかわりがなくなった中央部でも、ドイツ軍の猛攻により、第50歩兵師団が文字通り、全滅。最後の機動で、第7機甲師団も包囲されるに及び、実質的なドイツ軍完勝となりました。
 
久々の「ドイツ装甲師団長」でしたので、感覚を取り戻すのに、数回かかりましたが、AARは、最終ターンにもつれ込む逆転劇となり、よかったです。初めに書いたとおり、砲兵やリアクション、CCなどの独特な運用を身につけるまで、少し時間がかかりますが、慣れれば予想以上に堅実なシステムを楽しめます。
 
興味のある方は、ちはら会で一戦、いかがですか?ただし、癖があるので、インストはせず、事前にソロをした方をお待ちしています。そうでないと、たぶん、楽しめないと思いますので・・・。