今月のソロプレイ第二弾は、「ドイツ装甲師団長」(アドテクノス)から、Tactics誌に掲載された追加シナリオ9「クロスカウンター」です。バルジの緒戦に、ドイツ軍の精鋭第12SS 装甲師団とアメリカ軍のビッグレッドワン(第1歩兵師団)が、ビュトゲンバッハで攻防戦を行ったものです。
勝利条件は、VP方式で、アメリカ軍の守るビュトゲンバッハ(中央の街)を全て占領すると16点で、ドイツ軍の圧勝となります。さもなくば、西端からの突破で1ユニットに付き、1VPを獲得できます。
兵力劣勢なアメリカ軍は、ビュトゲンバッハの防衛が主任務になります。第2/3ターンに増援が来ますが、攻撃に向くのはM4/75中隊の3ユニット程度なので、防御をしながら、突出した敵を戦車と砲兵で叩くことが、基本になります。
よって、セットアップも、主防衛線をビュトゲンバッハに置き、突破/迂回をされないように、両翼まで二重戦線を引きます。なお、遅滞防御用に、1個中隊を#2832に配置します。

第1ターン、ドイツ軍が東端から進入してきます。足止めの1個中隊を包囲殲滅し、主力が中央と右翼に前進します。助攻の左翼には、兵力は少ないものの、強力なパンターを投入し、両翼への圧力をかけます。

アメリカ軍は、当初の計画通り、両翼で塹壕を構築し、偵察中隊をリアクション状態に置き、敵の攻撃を待ち受けます。
第2ターン、ドイツ軍が第1戦闘で、ビュトゲンバッハに正面攻撃をかけます。まず、制圧射撃で後方の偵察中隊を排除(DE)。
その上で、#2716の歩兵/対戦車砲スタックに、20戦力で攻撃をかけます。ここを抜かれると、序盤で勝負が決まりかねないため、アメリカ軍は支援火器も含めた全砲兵を動員し、阻止砲撃を行います。結果、戦闘比は1:2になり、ARでドイツ軍を撃退します。

正面攻撃は阻まれたものの、敵が砲兵を使い切ったことを確認したドイツ軍は、ここで両翼の塹壕に襲いかかります。戦車を先頭に押し立てた猛攻により、3:1と4:1攻撃でいずれもDE!

さらに、リアクションで突破防止に駆けつけた偵察中隊を、ウェスペの制圧射撃で敗走させ、右翼に突破口を開きます。
ここから、歩兵と戦車が浸透し、市街地に突入して、敵を包囲し、右翼のスタックを孤立化させます。

アメリカ軍も、支援砲撃で右翼の部隊を救出させることに成功しますが、主力が拘束されているため、増援を使ってなけなしの防衛線を引くに留まります。
一気に勝負をつけるかと思った第3ターンに、番狂わせが起こります。包囲した市街地の部隊に、4:1攻撃をかけますが、これがまさかのC!攻撃に参加したドイツ軍の8個中隊が混乱に陥ります。

また、完全に勝てると思った偵察中隊への包囲攻撃に、アメリカ軍が阻止砲撃を行ったため、こちらも1:2となり、Cに。
主力が混乱したドイツ軍は、やむなく、残った部隊で防御線を引くことに・・・。
ここで、アメリカ軍はM4を先頭に反撃に移ります。市街地中央で防御をしている装甲擲弾兵中隊を、12火力の制圧砲撃で殲滅します(3:1でDE!)。さらに、右翼で平地に陣取る装甲擲弾兵を、M4が倍火力で敗走させます。
空いた穴から、アメリカ軍が市街地への逆突入を行い、第2戦闘で包囲した敵を殲滅。

第3ターンの増援を注ぎ込んで、戦線を安定させ、市街地の大半を取り戻します。
第4ターン、ドイツ軍がカウンターを狙いに行きます。まず、機動を阻害している#2916の歩兵/支援火器スタックを、30戦力の包囲攻撃で全滅させます。
そして、第2戦闘フェイズで、左翼のM4及び工兵中隊に対し、装甲と砲兵を集中し、5:1でこれを撃滅します。突破口、開く!

この穴から、戦車と歩兵が突入し、敵の主力のいる市街地を丸ごと包囲。さらに、後方に突進した2個中隊(Ⅳ号と五号駆逐戦車)が、敵司令部を捕捉・包囲してしまいます。アメリカ軍主力は、市街地に拘束され、師団司令部は風前の灯火・・・。

絶体絶命のアメリカ軍は、一か八かの賭に出ます。第12SS装甲師団司令部への奇襲!これが成功すれば、ドイツ軍は全て混乱状態に陥り、状況は逆転します。
司令部への道を塞ぐ1個対戦車砲中隊に対し、アメリカ軍の歩兵と対戦車砲、そして砲兵による3:1攻撃が襲いかかります。結果は、見事、DE!

逆方向に開いた突破口から、市街地にいたM4が飛び出し、強行軍で森林を迂回します。この機動が成功すれば、司令部の壊滅はほぼ確実でしたが・・・ああ、ここでコマンドチェックに失敗!これで、敵の師団司令部を包囲する手立てはなくなりました。

第5ターン、ドイツ軍の前衛部隊が、第1歩兵師団の司令部を蹂躙。アメリカ軍は全て混乱状態に陥り、万事休す。

西端から3個機動ユニットが突破を果たしたことで、市街地に残った部隊を掃討せずとも、「ドイツ軍の圧勝」が確定しました。

ユニット数も少なく、ターンも短めのミニシナリオですが、その分、考えることが多く、濃厚なソロでした。バランスはドイツ軍が有利ですが、アメリカ軍が熟練すれば(かつ、drの恵があれば)十分に戦えます。
ドイツ軍のdrがよかったとはいえ、今回は、反撃時にアメリカ軍の砲兵を使ってしまったのが、敗因かもしれません。防御用に取っておかないといけないのは分かっているんですが、つい、投入してしまうんですよね~。そういった意味でも、ルールはシンプルですが、「運用」は極めて繊細で計画性が必要な中堅アイテムです。
最後に、勝利した後の第12SS装甲師団の顛末記が記載されているので、どうぞ。
ドイツ軍圧勝 → 第12SS装甲師団はその後、「リエージュで包囲され、降伏」
・・・結局、ドイツ軍の勝利はなかった、という見解ですね。まあ、ミューズ河にたどり着けただけ、よかったのかも?