今月のソロプレイ第一弾は、メジャーテーマの西部戦線1944から「DAGGER THRUSTS:PATTON」(CMJ) です。新たに、西部戦線ジャンルを立ち上げたのはいいのですが、少し停滞ぎみでして・・・。季節もちょうどバルジということもあり、年末までに前進なるか?!
 
ジャンル自体は、メイジャーなんですが、このアイテムは1944年9月の「パットンの攻勢」を扱った仮想戦になります。史実で行われたマーケットガーデン作戦の代わりに、パットン第3軍に空挺軍を含む全面支援を与えていたら、というパットンファン(?)には堪らない設定になっています。
 
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舞台は、史実で激しい攻防戦が行われた南部のメッツから、第三帝国の命運を握る北部ルール地帯になりま
す。アメリカ軍の勝利条件は、ルール工業地帯に1ユニットでも到着すれば、サドンデス。または、ゲーム終了時に、ライン川東岸に5ヘクスの橋頭堡を確保していれば、勝利します。
 
アメリカ第3軍は、師団がまとまっていれば強力ですが、増援を含めて、有効に使用できるのはわずかに6個師団(第9ターンの大増援は、登場しないことの方が多いです)。ドイツ軍は、装甲・歩兵ともに数はいるものの、ほとんどが1ステップユニットのため、機動力に富むアメリカ軍が兵力を集中すると、正面からの対抗は厳しいです。
よって、両軍の基本作戦は、以下のようになります。第8ターン以降に、1/2の確率でゲーム終了となるので、それを睨みながら、丁々発止の駆け引きを行うことになります。
・アメリカ第3軍が機動力と打撃力を生かして、機動戦を展開し、最終目標を秘匿しながら、敵兵力の消耗を狙う。後半になったら、いずれかでライン川東岸の橋頭堡を確保し、守り抜く。
・側面については、耐久力抜群(4ステップ!)の空挺師団と橋梁の破壊(空爆)で、計画的に防御を行う。第1連合空挺軍は、ライン川渡河のための橋頭堡になりうるが、それ以上に側面防御として使用した方が、効果は高い。
・ドイツ軍は可能な限り消耗を避けながら、敵の最終目標を類推し、適切な兵力投入(増援)を行う。敵の手薄な側面に攻撃をかけ、補給線(中継地点メッツ)に圧力をかける。
 
戦術的な運用では、以下になります。
*強力な機動突撃(MA)を駆使して、移動フェイズでの突破の試みを探る。アメリカ軍は、3個師団スタック(36戦力!)があれば、MAと通常攻撃(PA)で大抵の戦線を攻略できる。
*状況を的確に把握し、移動および戦闘の作戦選択を行う。特に、アメリカ軍は、移動-移動モードでMAを連発し、かなりの縦深突破や敵の包囲が可能である。
 
ちなみに、戦闘システムは、少ない側が完全に消滅するBB(EX)や、全てのユニットが1ステップロスをするDEなど、かなりブラッディになります。同じ損害でも、ステップが多く、単位あたりの減少戦力がわずかなアメリカ軍は、壊滅さえしなければ、相討ちでも十分に敵を消耗させられます。
 
これらの特徴を、数回のソロ演習で確かめ、いよいよ、AARです。
 
まず、第1連合空挺軍(1AAA)の初期配置ですが、ライン川及びトリーア付近に降下させ、東西の両側面を守るようにします。東側の1個師団+1個旅団については、ライン川渡河のための橋頭堡を兼ねるようにします。
これを見たドイツ軍は、ライン川沿いに歩兵を中心とした防衛線を引き、一部の装甲旅団を反撃用にカールスルーエに配置します。主力の装甲戦力は、マインツ付近の中央部とボン/デューレンの2箇所にまとまって配置し、敵の出方を見ながら、反撃を試みます。
 
第1ターン、補給を確保しなければならない連合軍は、中継地点となるメッツ攻略を目指します。最強の3個師団スタックを2つ形成し、外郭防衛線にいる歩兵及び装甲擲弾兵師団にMAをかけますが、drがよすぎて(DE!)、1ステップずつの損耗に留まります。
 
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続く、戦闘フェイズに6:1以上のオッズ振り切りで、残存部隊を除去しますが、肝心のメッツには無傷の装甲擲弾兵師団が残ります。連合軍にとってはもっとも遅い展開です。
 
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敵がもたつく間に、少しでも敵の補給源に近づきたいドイツ軍は、一部の部隊で、ライン川沿いの空挺堡を攻略/攻撃しつつ、主力は前進を開始します。
 
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第2ターン、早く主防衛線に辿り着きたい連合軍は、移動-移動モードを選択します。前ターンから延べ4回(!)のMAで、やっとメッツを攻略した第3軍は、1個師団を左翼の防衛に回すと、残りの全部隊を持って、中央部に進出します。
 
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次ターンからの本格攻勢の前に、少しでも橋頭堡を叩いておきたいドイツ軍は、ライン川周辺の予備を使って、空挺師団に包囲攻撃をかけます。第101空挺師団への攻撃はBBとなり、4ユニットの除去と引き替えにこれを排除します。が、カールスルーエへの1:1攻撃ではまさかのAL1となり、ライン川守備隊が壊滅。
 
移動フェイズに慌てて装甲旅団を投入しますが、難地形が重なって、マンハイムの橋梁を抑えることができません。
 
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第3ターン、千載一遇のチャンスに、連合軍の2個師団がMAをかけながら、渡河に成功します。マンハイムの5戦力装甲旅団をBBで除去すると、そのまま、北上してヴォルムスの守備隊を、通常攻撃で殲滅。さらに、もう1個の師団が後続で渡河し、ゲルマースハイムの守備隊も、集中攻撃で撃破します。これにより、間隙はあるものの、ライン川南部の東岸は、カールスルーエを除き、連合軍が支配します。
 
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まずい!すでに勝利条件を整えつつある連合軍に対し、ドイツ軍は全ての増援を南部に投入し、膠着を狙います。装甲兵力は、空白となっていたマンハイムを逆渡河し、消耗しきっていた第82空挺師団を排除し、東岸の敵部隊の背後遮断も目前になりますが・・・。
 
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第4ターン、連合軍は、空軍による橋梁破壊を実施。目標は・・・マンハイム橋!これにより、この地区の唯一のドイツ軍機動兵力は退路を遮断され、中央から引き抜かれた歩兵2個連隊によって、完全に封じ込められます。
後方の安全を確保できた連合軍は、嵐のようなMAを連発しながら、東岸のドイツ軍封鎖部隊を屠っていきます。包囲-MA-別スタックを包囲-もう1スタックがMAと、包囲の攻撃の連鎖により、敵の4個ユニットが壊滅。ヴォルムスからカールスルーエまでの東岸を、再び、占拠します。
 
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戦闘によるステップロスを、豊富な補充(1ターンに2ステップずつ)で回復しながら、第5ターンには、最後の守備拠点カールスルーエを占拠します。
 
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このままでは、連合軍の圧勝か?!危機感を募らせたドイツ軍は、左翼で反撃に出ます。接合点のフンスリュク山地に浸透した3個装甲旅団が、1個歩兵連隊+1個機甲騎兵に、2:1のPAをかけましたが、結果は最悪のAS(効果なし)。
 
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その後も、必死に攻勢を続けますが、周辺からかき集められた増援に前に、どうしても突破ができず。
 
第6ターン、中央の防衛戦に成功した連合軍は、最後の詰めに周辺の橋梁を片端から爆破し、カールスルーエ橋頭堡に立てこもります。ドイツ軍は、なけなしの増援を投入して、反撃準備に移りますが・・・。
 
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第7ターン、またもや先手を取ったのは、連合軍でした。ドイツ軍の増援が出尽くしたと見るや、橋頭堡に集結していた3個師団を投入して、ドイツ軍最後の反撃部隊を強襲します。正面からの力押しで、1個スタックを後退させ、マンハイム南部まで戦線を押し上げます。
 
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あきらめの付かないドイツ軍は、1:1攻撃をしましたが、3個旅団の壊滅と引き替えに、3ステップロスを与えるのが、やっと・・・。
 
開けた第8ターンの開始フェイズに、秋季の到来によって、ゲーム終了。8つの東岸ヘクスを占拠し、補給線を守りきった連合軍の勝利となりました。
 
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はじめは中々、勝てなかった連合軍ですが、高移動力による機動戦と同一師団効果による高比率のMAを駆使することで、ドイツ軍を圧倒できるようになりました。フリー・シークエンスやMAなど、それなりの習熟を必要としますが、慣れれば、パットンが描いた大機動戦を満喫できる一品です。
 
仮想戦と言うことで、人気がない「DAGGER THRUSTS:PATTON」ですが、興味にある方は、ちはら会でいかがでしょう?猛将パットンでも、手負いのドイツ軍でも、どちらでも引き受けますよ~。