今月のソロプレイ第4弾は、マイナー極まる中世史キャンペーンの「英仏百年戦争」(GJ) です。テーマ的には、日本ではほとんどなじみがなく、欧米で趣味で作ったかと思いきや、デザイナーはなんと日本人!そう、太平記システムで有名な中嶋氏です。
 
元になった太平記システムは、非常に汎用性の高い戦略級で、パズルのような陣地取りをベースに、SLGでは表現しにくい「裏切り」や「在地主義」をスマートに表現しています。どれだけ、融通性が高いというと、博徒の勢力争いを描いた「東海任侠伝」、幕末京都の治安活動(?)を描いた「新選組始末記」まで、再現できるといえば、おわかりでしょうか。
 
今回の「英仏百年戦争」(GJ) でも、ヨーロッパ西部を舞台に、イギリス・フランスの貴族や王、リーダーたちが鎬を削ります。名前は「英仏」ですが、まだ、国民意識はなく、血の繋がった貴族同士が、王をめざして、あるいは自分の勢力を拡大をめざして、活動します。珍しく、「裏切り」のルールがないのは、馴染みのない中世でこれを入れてもピンと来ないか、はたまた、バランスがハチャメチャになると思ったのか?!
 
というのは、1ターン10年というスパンのため、中心となる武将が次々と死去する(入れ替わる)という、予測しづらい展開になるためです。通常は3ターン生きれば、確率的には「病死」が待っています(期待値が1になる)。この時、うまく、兵力を引き継げればいいのですが、先の在地主義や身分、能力差によって、たった1ターンで、圧倒的な戦力が壊滅状態になることもあります。
 
また、攻城戦を描いた「籠城」というルールもあり、守りの堅い地域では大軍で攻めても自動的に後退させられる可能性があります。
 
よって、本作は、太平記システムの中では、もっとも運の要素が大きい、といえます。対戦ならともかく、展開の派手さは、まさに、ソロプレイのちはら会向きか?!(笑い)
 
今回は、歴史に彩りを添えるフルオプション(中立武将の史実オプションを除く)で、プレイします。まず、ゲームの準備ですが、固定セットアップ以外では、2人の中立武将の帰趨を判定します。結果、イギリス側がdrで勝ちフロア伯(BRI)を、フランス側がガン大町人(FLA)を手に入れます。
 
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第1ターンは、イギリス側主導権で6。フランス側はフランドル伯がシャンパーニュの支配を目論みますが、うまくいかず。イギリス側は、鉄人チャンドスをブリタニー経由で南下させ、アキテーヌの支配に成功します。このターンの病死はなく、支配VPは英7:仏6で、イギリス側+1に。
 
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第2ターンは、フランス側主導権で4。戦闘能力が高いイギリス側は、黒太子+鉄人の最強コンビを北上させ、イル・ド・フランス(パリ)を急襲しますが、善良王に第1ラウンドで籠城され、アンジュー地方へ後退し、ここを支配します。
 
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フランス側は、在地の武将をばらして、シャンパーニュとスコットランド、ルクセンブルクを支配します。
 
このターンは、フランス側の善良王が病死。支配VPは、英7:仏7で、変化なし。
 
第3ターンは、イギリス側主導権で5。武将数で上回るイギリス側が、再び、攻勢に。北部攻略の鍵となるピカルディ地方に別働隊を送ったところ、フィリップⅥ世率いるフランス側の主力が迎撃。激戦の末、フランス側が勝利し、ブロア泊を捕虜にします。
 
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一方、イギリス国王自らは、スコットランドの征伐に向かい、デイビットⅡ世を撃破します。が、惜しくも、支配はならず。支配VPは、英8:仏8で、変化なし。
 
と、このターンにはペストが猖獗を極めます。登場したばかりの賢明王をはじめ、フランス側5名、イギリス側が国王に皇太子など3名、計8名が死亡!両陣営とも兵力の引き継ぎに必死になります。
 
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第4ターン、ともに国王がいない状態なので、軍事活動は低調で、フランス側主導権で2。まず、フランス側最強の大元帥ゲクランとナポリ王のスタックが、反撃に出て、アンジューへ進軍。対するイギリス軍は、敵主力の機先を制し、ノルマンディからIDFへ打って出ます。戦闘自体はともにフランス側の勝利となりますが、イギリス側は思惑通り、「時間を稼ぎ」、支配は12:12のイーブンに。
 
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ところが、ここで無情にも「時間」がイギリス側の敵に。鉄人チャンドスをはじめ、3武将が病死!(フランス側は1武将のみ。)
 
第5ターン、まだ、戦争は低調で、イギリス側主導権で3。武将数で上回るフランス側が、大陸での反撃を続けます。ゲクランが地元であるブリタニーへ進み、主力はノルマンディに侵攻。両陣営とも決して優秀な指揮官とはいえませんが、ウェールズ公が活躍し、籠城に成功!数で優るフランス側を押し返します。
 
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が、支配エリアでは、ブリタニー・ベリー・ブルボンなど、地方をフランス側が押さえ(登場した地方武将による)、英10:仏13で、累積VPはフランス側+1に。
 
第6ターン、国王が決まったため、国内は落ち着き、フランス側主導権で8。いまだ、ゲクランが在命のため、正面戦闘は不利と判断したイギリス側は、ゲリラ戦に出ます。ウェストモランド泊が、スコットランドからニーザーランドに海上移動し、そのまま、フランドル・ピカルディを蹂躙します。また、敵がノルマンディに戦力を集中した隙を突いて、ヨーク公がイル・ド・フランスを急襲します!
 
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対するフランス軍も、ゲリラにはゲリラとばかりに、大元帥ゲクランを南下させ、アキテーヌを強襲。さらに、主力を持って、再び、ノルマンディへ繰り出します。
 
最大の戦闘は、ノルマンディで起こりました。両陣営とも4武将を注ぎ込んでいたので、退却ができず、大消耗戦に・・・。結果は、フランス側の数が物を言い、イギリス側はマーチ泊が戦死し、スチュアート卿が敗走。イギリス側は、大陸の拠点-ノルマンディを失います。
 
そして、病死チェックでは、ペストが大流行!元から少ないイギリス側が悪人王など4武将を失えば、フランス側も殊勲のゲクランを始め、3武将が死去します。
 
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ともに、裏をかく機動戦だったので、支配地域は入れ替わりましたが、VPの高い地域をフランス側が押さえたので、英8:仏13で、累積VPはフランス側+6に。
 
第7ターンは、フランス側主導権で6。流れは、フランス側に傾きつつあるものの、ゲクランの死去でリーダーの質はほぼ同レベルになります。となると、お互いに隙を突いて、攻勢を試みます。
 
まず、フランス側の本拠に居座るヨーク公に対し、兵力倍のフランス側が襲いかかり、IDFを奪還。続いて、ピカルディをめぐって、2武将同士が激突しますが、豪勇公率いるフランス側が圧勝し、ここを支配します。
 
と、ここまで一方的に首都を攻められたフランス側は、オレルアン公を渡海させ、イングランドを直撃!惜しくも堅い城に跳ね返されたものの(退却)、イギリス側をひやっとさせます。
 
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支配では、イギリス側がフランドルをとって一息着いたもの、フランス側もピカルディを取るなど、英10:仏15。捕虜によるVPも加えて、累積VPはフランス側+12に。
 
第8ターン、フランス側の勢いは止まらず、フランス側主導権で5。これで3ターン連続で、フランス側が取ります。
なんとか、形勢を覆したいイギリス側は、後のアザンクール大勝の立役者-ヘンリーⅤ世をノルマンディに上陸させます。迎え撃つは、オレルアン公。能力はややヘンリーⅤ世が有利でしたが・・・結果は、イギリス側の大勝!フランス側は、パリへ後退します。また、ピカルディでは、国王のヘンリーⅣ世が攻勢に出て、ここを奪還します。
 
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フランス軍も必死の対応をし、ブルゴーニュに登場した敵に無怖公を、2個武将で圧殺。さらに、豪勇公がイングランドに侵攻し、退却するものの、後一歩まで追い込みます。
 
うまく支配がとれれば、差が縮まるところでしたが・・・よりによって、ヘンリーⅤ世がノルマンディ統治に失敗。さらに、そのまま、病死!(きつーっ)。エリアは1だけ縮まって、英10:仏14。累積VPはフランス側+16。
 
第9ターン、主導権はやっとイギリス軍に(4)。焦点は、ノルマンディとイングランド本国になります。イングランドは、三度、堅い城壁に救われますが、ノルマンディはオレルアン公の逆襲により、フランス側が大勝!ベッドフォード公が戦死し、グロスター公が捕虜となります。支配エリアは変わらず、英10:仏14で、累積VPはついにフランス側+20へ。
 
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第10ターン、フランス側主導権で4。もはや、劣勢はいかんともしがたいイギリス軍ですが、なんとか、重要地点(2VP)を確保せんと、無怖公をアキテーヌに送り、ここを奪取します。また、フランドルに突撃してきたジャンヌ・ダルクによって、大損害を受けながらも、ここを死守します。
 
が、この隙に、本国イングランドが危機に。海を渡ったオレルアン公のdrが爆発し、第1ラウンドに3ヒット!ジェームスⅠ世は後退を余儀なくされ、ついにイングランドが陥落します。
 
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支配エリアは、重要エリアを差し変えた形になり、英10:仏14のまま。病死チェックでは、イギリス側4人、フランス側5人と大量の死亡者が出る中、殊勲の老オレルアン公は生き残ります。
 
いよいよ、終盤の第11ターン。無情にも主導権はフランス側で6ながら、意気の衰えないイギリス側は、各地で攻勢に出ます。これを、数で優るフランス側が、適切に迎撃します。
 
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ポーから北上する青髭に対し、勝利王チャールズⅦ世が迎撃。コンピニューを伺う敵主力は、ジャンヌが阻止。そして、イングランドの奪還を狙う火の顔に対しては、老オレルアン公が籠城策で対抗し、これを退けます。

一方、私生児ジャンはニーザーランド経由で、スコットランドに渡り、敵の後方を攪乱します。これが効いて、支配は英9:仏16。累積VPは、ついに振りきりです(フランス側+30)。
 
このターンの病死チェックでは、主役級の死亡が連発します。イギリス側は、英仏王やソールズベリー泊など4名、フランス側は勝利王に老オレルアン公など、やはり4名。
 
もはや、逆転はありえませんが、第12ターン、イギリス側は最後まで反攻します。わずかながら主導権を取ると(イギリス側:3)、投入可能な全兵力を持って、イングランドに進軍!火の顔の活躍で、本国を奪還します。
 
また、大陸ではピカルディやブルゴーニュに進撃しましたが、武運つたなく、敗北。そのまま、地方に後退して、ジ・エンド。結局、フランス側の累積VPは、振り切りのままで、大勝となりました。
 
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今回は、大元帥ゲクランやオレルアン公などが、平均以上に長生きしたため、フランス側の部隊回しが楽になりました。逆に、イギリス側は黒太子やヘンリーⅤ世が短命で使い切らなかったため、徐々に差が広がり、どうにもできない状態になったかと思います。
 
本当に病死チェックは凄まじいですが、めまぐるしく変わる展開に、その都度、その都度、ベストを尽くした側に、勝利の女神は微笑むのかも知れません。あなたも、病死の神様(?)に運命を委ねてみませんか?!