今月のソロプレイ第一弾は、昨年の新ジャンルから「珊瑚海海戦ソリティア」(CMJ)です。その名の通り、珊瑚海海戦をソロで楽しむアイテムで、プレイヤーはアメリカ軍を担当します。以前、VG社から発売されていた「CARRIER」と同じコンセプトですが、ルールとしてははるかにシンプルです。
 
10Pほどのルールで、索敵、航空攻撃、水上戦、艦砲射撃と一通り、揃っています。対空砲火が思いの外に強力で、結構、損害が出ます。逆に航空攻撃は(他の空母戦と比べると)やや、おとなしめです。試しに行った演習では、アメリカ軍が慎重策を取ったために、空母戦は起こらず、ポートモレスビー攻略部隊への空襲と水上戦で、航空機と水上艦艇の損害のみで、引き分けに終わりました。
 
このゲームの特徴として、日本軍の位置がわかっていることが上げられます。攻撃するためには、諜報活動等で確定をしないといけませんが、アメリカ軍としては適度な距離を保つことが可能です。あとはタイミングを見て、最大距離での空襲をかけ、MO機動部隊(空母2隻)とMO攻略部隊(空母1隻)の各個撃破を狙います(もちろん、敵はdrで最大3ヘクスのランダム移動をするので、間が悪いと懐に肉薄されることもありますが・・・)。
 
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これを元に、早速、セットアップをして、リプレイに移ります。
 
まず、敵の主力がいない序盤に、水上艦艇及び航空兵力の再編成を行います。ニューカレドニアを出港した機動部隊及び駆逐艦隊を再編成し、全てをTF17に統合します。これにより、対空火力及び水上戦力が倍加し、かつ、航空機の運用も効率的になります。
 
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また、オーストラリアからポートモレスビーに戦闘機1戦力を送ると共に、北部飛行場に集結した陸上攻撃機で、ラエへの空襲を行います(成果はなし)。
 
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一方、日本軍はツラギ攻略隊が目的地に到達し、夜間の揚陸で早くも20VPを獲得します。
 
明けて、5/4の昼間ターン(第3ターン)、発生イベントは、指揮の混乱。敵の主力が登場するために、諜報を大規模に行うはずが、-5CPと大きな痛手です。それでもなけなしの2CPを注ぎ込んだ諜報は、案の定、成果なし。
 
アメリカ軍主力が珊瑚海への進出を急ぐ一方、日本軍は増強されたラバウル航空隊を使って、ポートモレスビーを襲撃します。が、ここに3ポイントのCAPを上げておいたおかげで、敵のLMB3ポイントを撃退。爆撃も成果なしに終わります。
 
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いよいよ、敵が接近する第5ターン、アメリカ軍は突進してきたMO攻略部隊(空母1隻)に焦点を定め、多数の情報網を張り巡らせます(諜報CP6) 。見事にこれが敵艦隊を捕らえ、確定済みにします。一方、日本軍も水上機により、警戒網を形成していたアメリカ軍のCYPを発見します。
 
史上初の空母戦が、ここに幕を開けます。まず、アメリカ軍がレキシントンとヨークタウンの全力を持って、MO攻略部隊を攻撃します。日本軍もTF17を航続距離内に収めていましたが、確定していたCYPに向かって、攻撃隊を送り出します。
 
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先手を取ったのは、アメリカ軍でした。護衛戦闘機の援護の下、2ポイントのゼロ戦をかいくぐると、のべ10ポイントの戦爆連合が敵の輪形陣を捉えます。目標選択のdrもよく(任意!)、空母翔鶴に300%の攻撃!重巡洋艦にも、200%の雷爆撃を見舞います。結果は、ともに撃沈!幸先のよいスタートです。
 
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一方の日本軍は、結果的に囮となったCYPを撃沈しますが、CAPをしていた零戦2ポイントを除いて、全航空機が燃料切れで不時着します。
 
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さらに、夜間の第6ターン、空母を失ったMO攻略部隊は、なんとTF17に夜襲をかけてきます(移動drが接敵)。が、のべ10ユニットの重巡と駆逐艦の壁は厚く、1ユニットの駆逐艦隊の損傷と引き替えに、日本軍の重巡及び駆逐艦隊が戦闘不能に陥ります。
 
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この日の戦闘により、動揺ポイントは7になり、VPは日本軍29点:アメリカ軍87点と2倍以上の開きになります。
 
翌5/5(第7ターン)、アメリカ軍は損傷した駆逐艦に護衛の2ユニットを付けて、機動部隊から分離します(艦速が低下するため)。主力の空母隊は全力で北方に向かい、南下してきたポートモレスビー攻略部隊に空襲をかけます。
 
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なんとか輸送船を叩きたかったのですが、日本軍の必死の対空砲火で照準を狂わされたのか、護衛の重巡を撃沈破するに留まります。
 
日本軍も艦隊を支援しようと、ラバウル航空隊が長駆、オーストラリアの北部基地を叩きますが、戦果はなし。
 
ここで夜間になったため、難を逃れたポートモレスビー攻略部隊は、目的地に肉薄します(後1ヘクス)。が、運命の女神(dr)は気まぐれでした。ポートモレスビー沖まで到達した輸送船団は、謎の反転(!)をして、陸地から離れてしまいます(2年早い、栗田艦隊か?!)。
 
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多少なりとも上陸されることを覚悟していたアメリカ軍は、この僥倖に欣喜雀躍し、空母機動部隊の全力を持って空襲を実施。さらに、北部基地から出撃した重巡艦隊と合同で、空母も加わって(!)の水上戦を仕掛けます。
 
まず、航空攻撃で、攻略部隊で最大の攻撃力と防御力を持つ駆逐艦が沈没。続く、水上戦で日本軍が果敢に攻撃(!ここで戦術的主導権)をかけてきましたが、分厚い水上艦艇の壁にぶち当たって、最悪のA3(過半数が沈没し、残りが戦闘不能!)
 
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ここに、ポートモレスビー攻略部隊とMO攻略部隊が完全に壊滅し、士気の低下した日本軍は恐慌状態に陥ります。
 
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実質的な勝敗は、この時点でつきました。もはや、ポートモレスビーを落とすことはできないと判断した大本営は、虎の子の空母機動部隊の撤退を指令。アメリカ軍も追撃を考えましたが、前方に展開する潜水艦のスクリーンを用心し、これを断念します。
 
代わりに、逃げ遅れた掩護部隊(水上機母艦及び砲艦)を血祭りに上げ、VPを重ねます。
 
全くよいところのなかった日本軍も、ラバウル航空隊が意地を見せ、TF17を二回にわたり空襲しましたが、濃密な対空砲火とCAPに阻まれ、航空機の損害を増やしただけでした。
 
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ゲーム終了時のVPですが・・・
日本軍47点:アメリカ軍269点と、圧倒的な戦果で戦略的勝利となりました。
 
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空母戦アイテムは数あれど、このゲームでは戦術的な目標選択がほぼdrによって決まります。よくある「効率のいい」攻撃ができないわけで、提督の立場が明確にシミュレートできています。プレイヤーにできるのは、航空攻撃のタイミングと投入量のみであり、実際にどの艦艇を攻撃できるのかは、現場の攻撃隊長の判断(dr)となるわけです。
 
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そういった意味では、今回はMO攻略部隊を単独で叩けたり、戦術的にも最良の任意選択だったりと、かなりついていました。dr次第とはいえ、敵の機動部隊とポートモレスビー攻略部隊がまとまって侵攻することもありえるわけで、航空攻撃の成果が他のゲームより控えめな分だけ、苦戦する展開も十分にありえます。
 
聞くところによると、作戦級ですが、「ソロモン・キャンペーン」(CMJ)も同じ戦闘解決システムをとっているそうなので、そちらもぜひ、対戦したいものです。