ちはら会でも100年に1回しかできないであろう(うそ)、「大航海時代」(ツクダ)のリプレイです。表題になぞらえて、「大改造!劇的ビ●ォーア●ター!」風に、ゲームの流れと「大改造」の様子、リプレイをお届けします。

<扉をあけて、ちはら会会場の風景>80-90年代のシミュレーションゲームのブームの末期に、あるマルチゲームがツクダホビーから発売されました。そのゲームの名は、「大航海時代」。

発見されたばかりの「新大陸」アメリカ大陸をめぐって、ポルトガル・スペイン・オランダ・イギリス・フランスが凌ぎを削る「謎解き冒険バラエティ」です。航海から上陸、探索、交渉、戦闘、植民などが、システムマックに表現された、楽しさ満載のアイテムになるはずでした。ところが・・・。
このゲームには、プレイヤーを遠ざける、ある問題が隠されていたのです。それは・・・<ピアノの乱打音>
最大の問題は、チェックシートによる極めつけの煩わしさでした。
ワクワク感を高めようと、新しい土地(ヘクス)に入った人々(ユニット)は、そこで捜索を行います。うまくいけば、そこここに村が現れたり、黄金いっぱいの帝都が現れたりします。原住民さんは、見知らぬみなさんを警戒してにらみつけたりしますが、お馬さんや大砲をプレゼントすれば、大丈夫。よろこんで金を差し出してくれます。時には襲いかかってきたりしますが、そんな時は武装兵や自警団が「やっておしまい!」と村ごと焼き払い。焼け跡には、ひょっとすれば、黄金(ぜに)が顔を出してくれることも・・・。
<ここで不協和音>原版では、なんとこれを、チェックシートで管理していたのです。しかも、全員で!!チェックすることが多すぎて、同じ場所をぐるぐる探したり(調べたヘクスを見失う)、「幻の村」が現れたり(上限の6個以上に探索)、酷いときには行きもしない土地が行ったことになったり(複数によるチェック間違い)。現地の冒険者はもちろん、本国のみなさんも大こんらん!

さらに、探検隊のやる気を殺いでいたのは、貧相な古地図(マップ)でした。ハーフマップよりやや小さい地図には、無造作に塗りつぶされた、青・紫・緑・茶色のヘクス列。はっきり言って、これがすぐにアメリカ大陸とわかる人は、誰もいないはずです。
そして、最後は、数字(と頭)が入り乱れた治安値表。収穫時(秋の作物フェイズ)には修正が多すぎて、本当にどこまで味方なのか、敵なのか、途方に暮れるミステリー・テーブル!
あまりの居心地(コンポーネント)の悪さに、「大航海時代」は「大こうかい(後悔)時代」と呼ばれる不幸なゲームになっていたのでした。
「大こうかい時代」をなんとかしてほしい。ヤフオクで安いバッタゲームを掴まされた人々は、ある一人の「匠」に、大改造を依頼します。「匠」の名は・・・mitsu。
<ここで番組のテーマ曲>蝉の幼虫のように、15年も辺境戦線(ちはら台)でソロをしてきた「匠」。これまでプレイ不能と言われてきた数々の名作(うそ、迷作)を、わがままいっぱいの感性とカレーなべのようなしつこさで完遂してきました。やってやれないゲームなどない(うそ)!キャシャーンがやらねば(いや、ちはら会がやらねば!)誰がやる!!
「匠」が取りかかったのは、一番の問題だったチェックシート。「チェックが煩わしければ、いっそ、チェックをなくしてしまえば!」最もシンプルな発想の転換でした。そのために用意したのは・・・なんと、200枚に及ぶ大量のマーカーでした。探検したヘクスに片っ端から並べていくScoutedマーカー。それでも、たくさん並ぶと五月蠅いので、エリア全体が終わったら、華麗にArea Scoutedマーカーに変更します。赤と青のツートンカラーが美しい味方/敵マーカー。略奪するなら今でしょ!と機能的な略奪マーカー。プレイヤーは、あの煩わしかったチェックシートから解放されたのです。

次に、著しくやる気を殺いでいた、貧相な古地図に手を入れます。大黒柱のべた塗りへクスは残したものの、各地域には史実に沿った地名をシール貼り!よくわからなかった帝国が「アステカ文明」や「インカ帝国」に生まれ変わったのです。これで「見知らぬ星の見知らぬ土地」が、みながよく知る北米/中米大陸に!さらに、ランダム決定の総ヘクス数を書き込む、親切設計まで・・・。

数字が入り乱れた治安値表も、プレイヤーごとの管理シートに分割します。これで「自分の植民地」を手にしたプレイヤーは、モチベーションが上昇し、意欲的に現地開発に励むはず。加えて、収穫時の修正済みのマーカーも用意し、まさに至れり尽くせりの仕上がりに。


大改造を終えた「大航海時代」。あとは、実践の時を待つばかりでしたが・・・。おかしなゲームをやらせたら日本一(?)と評判のあるちはら会で、ついにその時を迎えます。
朝一番で到着した「匠」は、一番目立つテーブルに、アイテムを並べ、やってくる来場者を待ち受けます。この「大航海ホイホイ」にかかったのが、常連のkawaさん。自身もヤフオクで値切り品を手にしていましたが、箱を空けただけで、そのコンポのひどさに断念していました。ところが・・・改造により、地名が記載されたマップを見て、表情が一変。「ああ、アメリカ大陸だったんだ!」(笑い)
次にやってきたのは、変わり種大好きのいのさん。「えー、こんなゲームあったの?」と近づくと、しげしげとコンポをいじり回します。かつて、妙な戦闘級ばかりプレイして「ツクダ王」?!と言われたいのさんは、明らかに興味を引かれながらも、ひょっとして「ツクダ病(全然ゲームにならない)」ではと、警戒を緩めません。そこで[匠」が取り出しのは・・・。

<ここで明るく変調>なんということでしょう!「匠」が秘かに用意していた渾身のオリジナル総合結果表が姿を現したのです。あれほど、見にくかった図表類が、修整値も含めて一目瞭然に。しかも結果表は工程ごとに、美しく色分けされ、これなら異人さんもニッコリ!みなが幸せになる、総合結果表に生まれ変わっていたのです。
これでいのさんの表情が激変!「これ、やる~?」と見事にホイホイにかかったのです。

kawa・いのに加え、嫌がる(?)エンジョウさんを加え、ついに「大航海時代」4人プレイが幕を開けたのです(次の記事に続く)。