この日、一番楽しみだったのが、HAさんにお誘いいただいた「Beda Fomm」(CMJ)です。いわゆるオコンナー攻勢の終盤に、イタリア軍に止めを刺した戦闘を描きます。
かつてGDW社で有名だった120シリーズ(120駒で120分でプレイ)の一作で、コンポーネントはお手軽なんですが、システムと特別ルールが一風、変わっていまして。基本は移動-戦闘なんですが、戦闘形態は砲撃戦-対戦車戦-通常戦闘の三段階に別れます。個々の戦闘は納得できるのですが、トータルで使いこなすにはそれなりの熟練が必要です。

また、イタリア軍のうち、実に半数以上が道路外での行動ができない(!)という、強烈な制限があります。これにより、少数のイギリス軍にも勝機があるのですが、28ターンの長丁場を見越して、どこまで押してどこまで引くのか、繊細な判断が求められます。
今回は、数だけは多いイタリア軍をmitsuが、戦術的な有利を持つイギリス軍をHAさんが担当します。
序盤、イタリア軍は特別ルール(陰謀ルール)により、接敵するまで6移動力以上を消費して、ひたすら南下することを強いられます。今回も、先陣を罠にかけるべく、イギリス軍の先駆隊が南部で待ち受けます。

第2ターン、案の定、イタリア軍は伏兵を受け、先頭と最後尾の部隊が殲滅されます。

ここでこだわっても被害を広げるだけ、と判断した後続部隊は、前衛を見捨て、戻れる部隊を引き戻して北部に戦線を引きます。

これに対し、イギリス軍のクーム部隊は果敢に追撃を行い、マップの北1/4まで攻め上がります。

が、これはやや勇み足でした。第5ターンの増援で、イタリア軍の待望の戦車隊が登場し、突出していた2個歩兵中隊を包囲殲滅します。

イギリス軍は、砲兵による移動妨害を行いながら後退し、増援の第4機甲旅団とともに、中央付近に防御線を引きます。

その後、さらなるイタリア軍戦車も到着し、夜間となります。両軍は翌日の決戦に向けて、部隊の再配置を行い、準備を整えます。
夜が明けきった第10ターン、南への突破を図るイタリア軍が仕掛けます。イギリス軍を上回る7ヘクスの射程を持つMoe部隊の砲兵で敵の対戦車砲を砲撃し、一部を敗走させます。序盤の戦闘で少なからずの被害を受けていたクーム部隊の士気が著しく低下します。

イギリス軍も砲撃の逆襲で、中央の小道を進んできたPas部隊の砲兵を殲滅しますが、数の多いイタリア軍には、織り込み済みの損害です。

第11ターン、翼延運動で敵の戦線を引き延ばしていたイタリア軍は、戦車のほとんどを投入して、もっとも西よりの敵に集中攻撃をかけます。性能が低いM13ですが、戦車戦のセオリー通りの果敢な集中使用により、局地的に敵装甲兵力を圧倒し、第4機甲旅団の半数の戦車を撃破してしまいます。

長距離砲もまたもや決定的な効果を与え、敵の砲兵を撃破、沈黙させます。
イギリス軍も戦線の中央から北端にかけて、装甲車による迂回蹂躙攻撃を行い、1歩兵大隊を殲滅し、1個大隊を敗走させますが、南部ではなけなしの機甲兵力を転用して、防衛線を引くのがやっとです。

第12ターン、薄く伸びた防衛線の一点に対し、イタリア軍はなおも戦車の集中投入を実施します。対戦車反撃で少なからずの損害を受けますが、非力な装甲車を無視して、全ての射撃を巡航戦車MKⅡに集中し、これを撃破!この結果、一時的にイギリス軍の戦車兵力が消滅となりました。

こうなると、6ターン後に第7機甲旅団の一部が来るまでは、損害覚悟の遅滞防御しかできず。それさえも、イタリア軍の戦車増援を考えると、突破を防げないであろうという結論となり、イタリア軍の勝利となりました。
う~ん、史実ではイギリス軍の完勝だったそうですが、イタリア軍が徹底した翼延運動と断固とした装甲兵力の集中を行えば、かなり有効なことがわかりました。当時のイタリア軍にそれほどの作戦遂行能力があったかといえば大いに疑問ですが(笑い)、戦理にかなった展開で勝利できたのは、とてもうれしいです。ちょっとイギリス軍の作戦も考えてみたくなりました。
どなたか、我こそと思う方は、イギリス軍の神髄を捜してみませんか!事前の準備期間さえいただければ、いつでも、お相手しますよ~。