今年は、ご存じの通り、第一次世界大戦勃発から100周年にあたります。せっかくだからと、ソロプレイをしてみたのが、「第一次世界大戦」(CMJ)です。
 
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CMJ誌72号に掲載された戦略級キャンペーンです。本当は、この号では、バンダイの「第二次世界大戦」のリメイク版がつく予定でしたが、直前になって版権の関係で再版できなかったとか。こりゃ、間に合わせだろうなと思って、実はプレイ意欲が湧かなかったのですが、せっかく100周年だからとやってみたところ・・・こりゃ、面白い!非常にシンプルなルールで、かつ、この戦争らしさを醸し出しつつ、戦略的な自由度が極めて高い秀作です。
 
元のゲームが高梨氏デザインだけあって、戦争資源の概念がシンプルかつスマートに表現されています。敢えて言えば「ドイッチェランド・ウンター・ゲルト」を洗練したシステムですかね。各国は基本的に生産都市の数だけ、動員ポイントをもらえるのですが、これを2つ使えば1個軍を消耗状態で動員でき、もう1ポイントで作戦状態に昇格できます。戦闘実施と補給切れによってユニットは消耗するので、動員が先か補充が先か、決して潤沢とは言えない動員ポイントの使い道に悩むことになります。
 
かつ、戦線は、西部/東部戦線はもちろん、バルカン半島やイタリア戦線などもあり、どの方面にどのくらいの兵力を送るのか、敵の侵攻にどう対応するか、まさに戦略眼が問われるアイテムです。事前に何度か試行をした後で、今回のソロAARとなりました。
 
第1ターン、「八月の砲声」よろしくドイツ軍は西部戦線で主攻勢に出ます。シュリーフェン計画の特別ルールもないので、史実と違い、中央部及び南部を中心に奇襲を行います(このターンは、戦闘で-2drm)。南部と中央部の4:1攻撃が見事に決まり、2個軍を撃破。また、ヴェルダン要塞も一撃で陥落させます。これにより、補給を立たれたフランス軍3個師団が降伏し、このターンだけでなんと6軍が崩壊します。
 
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対照的に粘りを見せたのが、ベルギー軍。2:1攻撃でDDとなるも、見事に死守を成功させ(1/6の確率)、北部への進行を押しとどめます。
 
一方、東部では遅滞戦術を行いながら、しばらくは防御態勢をとります。西部戦線での進行が止まった時点で、こちらに転換する予定です(が、結果は、思わぬ方向に)。
 
あまりの消耗に驚いた連合軍は、西部戦線北部で早くも塹壕を掘りながら、部隊の増員に努めます。東部戦線では、徹底持久を目標に、無駄な攻撃を避け、部隊の補充に専念します。
 
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第2ターン、同盟国軍は、塹壕構築が間に合わない西部戦線南部に兵力を集中し、最南端のユニットを撃破し、隣接する通常状態の軍を包囲します(翌協商国軍ターンに消耗)。さらに目障りなベルギー軍を今度は圧倒し、ブリュセルを攻略します。
 
東部戦線では、ワルシャワ近郊に限って包囲を狙った限定反撃を行いましたが、ロシア軍がDで撤退したため、成果なく、攻勢を中止します。
 
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まだ、反撃の余力を持てない連合軍は、BEFの増援を得てなんとか戦線を構築することに成功します。東部戦線は、全く挑発に乗らず、補充で戦線を厚くすることに取り組みます。
 
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第3ターン、西部戦線で主導権を握り続けている同盟国軍は、ここで禁断の兵器を投入。ガス!同時に南部では巧みな機動(ZOC to ZOCの直接移動)で敵を包囲し、見事にこれを討ち取ります。この結果、戦線に修復不可能な大穴が・・・。
 
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まともな連続戦線が引けない協商国軍は、パリに塹壕を掘り、BEFをフランス南部に展開して(!)かろうじて防御態勢を取ります。
 
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第4ターン、同盟軍はなおも攻撃の手をゆるめず、西方の1ユニットを撃破し、ついにパリに隣接するヘクスに辿り着きます。
 
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協商国軍は、フランス軍でパリ近郊にスタックを作って守りを固めるとともに、もはや、BEFが主力となって戦線を構築します。
 
第5ターン、さすがにパリ強襲は難しいため、同盟国軍は突撃兵の登場を待つことに。代わりに、秘かに南下させていたドイツ軍とオーストラリア=ハンガリー軍を持って、今大戦の発火点となったバルカン半島に侵攻します。ブルガリア軍も参戦し、四方を囲まれたセルビア軍は決死の防衛戦を展開しますが、多勢に無勢でベオグラードが陥落します。
 
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一息ついた協商国軍は、ユニットの動員と補充を行い、前線の戦力を強化します。
 
第6ターン、英仏が主戦線に拘束されているうちにと、同盟国軍はバルカン作戦を継続し、中立国のモンテネグロを制圧します。同時に、西部戦線でも少しでも優位な状況を作るべく、南仏で4:1攻撃をかけますが、BEFが死守に成功し、こちらは失敗。
 
敵が消耗したところを叩けと、今度はBEFが航空機を投入した逆襲を行い、ドイツ軍の2個軍団を撃破します。押されっぱなしだった協商国軍に、凱歌が上がります。
 
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第7ターン、このターンからドイツ軍は突撃兵の投入が可能になります。西部戦線かと思いきや、狙っていたのは、参戦直前のルーマニア!セルビアを席巻したドイツ軍は、前ターンにブルガリアに移動し、このチャンスを狙っていました。敵が動けないことをいいことに、首都ブカレスト攻略に突撃兵を投入。始めて遭遇する浸透戦術に、ルーマニア軍はパニックを起こし、まともな抵抗もできずに降伏。これにより、バルカン半島方面の協商国軍はわずかにギリシアを残すのみに。
 
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一方の協商国軍もこのターンから秘密兵器タンクの生産が可能になります。次ターン以降の反撃に備え、英仏とも戦車を動員するとともに、イギリス軍は航空機も整備します。
 
第8ターン、アメリカ軍が来る前に決定的な戦果を上げたい同盟国軍は、東部戦線では突撃兵を使って、ロシア軍を圧倒します。そして、西部戦線では、突撃兵3個軍を持って、本命のパリ強襲を実施します。なけなしの航空支援まで注ぎ込んだ3:1攻撃は、見事にDD!が、後がないフランス軍も死に物狂いの抵抗を見せ、1個軍が陣地を死守し、パリを救います。
 
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攻勢限界点を迎えたドイツ軍に対し、戦車と航空機を押し立てた英仏軍が南方から反攻を開始します。熟練のイギリス軍の攻撃はドイツ軍を圧倒し、歩兵軍を殲滅。戦闘後前進により風前の灯火となった消耗した2個突撃兵を戦車が蹂躙しましたが、ここでは1個軍が脅威の防御戦闘を展開し、全滅の危機を救います。
 
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第9ターン、兵力的には押され始めたドイツ軍ですが、乾坤一擲の反撃を計画します。南部2箇所で突撃兵を先頭に押し立てて、鋭い攻撃を見舞います。これが成功していれば、2個軍を撃破し、さらに3個軍が包囲されるはずでしたが・・・友軍の危機にフランス軍と消耗しきったはずのイギリス軍が、根性で死守に成功!一歩も引かず。ああ、なんて壮絶な死闘!
 
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なお、一向に革命の起こる気配のない東部戦線では、ドイツ軍とオーストラリア=ハンガリー軍が生産都市のオデッサを強襲しますが、まさかのAで攻撃失敗となります。
 
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ここに来て、アメリカ軍主力も到着した協商国軍は、西部戦線で大反攻に出ます。攻勢に失敗した敵を、ZOC to ZOCの直接移動で包囲した上で、さらに西方から戦車を先頭に4:1攻撃を実施。凄まじい衝撃力をまともに受け、1個軍が壊滅。もう1個軍はかろうじて耐えたものの、戦闘後前進により、突撃兵3個を含む、4個軍が被包囲に!(次ターンに3個軍が補給切れにより消滅)
 
第10ターン、西部戦線南部に大穴が空いた同盟国軍は、各戦線から兵力をかき集め、突撃兵に昇格した軍でかろうじて戦線を引きます。
 
これに対し、英仏米の三カ国軍は、戦車と航空機を合わせた諸兵科連合で正面から圧倒。突撃兵はかろうじて耐えたものの、2個軍を撃破し、遂にベルギー解放を成し遂げます。
 
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が、遅まきながら、東方で一大事が発生します。ロシア革命!東部戦線方面軍が第二次オデッサ攻撃に成功したため、革命値が上昇。都市の民生転用を図り、可能な限りの修整をしていましたが、1/3の確率で革命が勃発。押されたとはいえ、なお、4つの生産都市を持つロシアが脱落してしまいます。これにより、ついに同盟国軍が、VPで協商国軍を上回る事態に。
 
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後がない協商国軍は、第11ターン、西部戦線・イタリア戦線・バルカン方面で反攻に出ます。オーストラリア=ハンガリー軍が守るトレントは、イタリア軍の大量投入で陥落。が、主戦線の西部戦線では、3箇所の高比率攻撃を、突撃兵が耐え続け、戦線を維持します。戦車まで投入したモンテネグロ奪回戦も、オーストラリア=ハンガリー軍が奇跡的に死守に成功します。
 
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迎えた最終第12ターン、もはや逆転は困難ですが、一縷の望みをかけて、協商国軍は最後の攻撃に移ります。一か八か、ミュンヘンへの1:2攻撃は、当然のごとく、失敗し、2個イタリア軍が昇天。かわりに、モンテネグロ戦では、戦車の投入が効き、ついにこれを奪還。
 
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が、西部戦線の主攻では、戦車・航空機の投入にもかかわらず、悪鬼のごとく立ちはだかる突撃兵を粉砕できず、戦果なし。4年3ヶ月の及んだ人類初の世界大戦は、かろうじて同盟国の勝利で幕を下ろしました。
 
同盟国:20VP 
ドイツ、オーストラリア=ハンガリー、ルクセンブルク、ロシア(オデッサ)、セルビア、ブルガリア、ギリシア、ルーマニア、トルコ
協商国:18点
イギリス、フランス、アメリカ、イタリア、ベルギー、モンテネグロ
 
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いやー、両軍の強襲と死守の連発という凄まじい戦役でした。めまぐるしく変わる展開でしたが、西部戦線でドイツ軍の攻勢が成功したため、英仏軍がバルカンやイタリア方面に兵力展開できなかったのが響きました。とはいえ、同盟軍も西部戦線に資源を回したため、ロシア軍に終盤までまともな圧力をかけられず、あやうくロマノフ王朝が存続するところでした。冷静になって考えれば、最終ターンにルクセンブルクを攻略していれば、同点だったわけで、バランスも全くの互角といっていいでしょう。
 
最近はプレイの話を聞きませんが、「Guns of August 」(AH))ほどハードでもないし、「WWⅠ」(SPI)よりはるかに具現的と、もっと評価されてもいい名作です。もし、対戦希望がありましたら、ちはら会へどうぞ。ああ、できれば、100周年のうちに・・・(笑い)。