今月のソロプレイは、「太平洋戦史」が出て話題性の高い「太平洋戦争の陸海空キャンペーン」ジャンルから、「ガダルカナル戦記」(同人)です。以前、CMJが自主出版支援プロジェクトとしてはじめた一作で、デザイナーはかの中黒氏。最近で言う「盆栽ゲームズ」の走りでしょう。
 
シークエンスは、一風変わっていて、両軍が交互に行動をし、ともにパスをしたら終了です。各艦艇は、基本的に一度、戦闘(または任務)を行うと、根拠地に帰還し、次ターンまで使用できなくなります(空母のみは、2回までの空襲が可能です)。艦艇の編成によって、以下の任務が行えます。
ア)空母機動部隊(空母を含む艦隊) 
    昼間移動/空襲/ガ島への空襲/帰還
イ)輸送部隊(輸送船を含む艦隊、空母がいても輸送船がいれば輸送部隊となる)
    昼間移動/揚陸/帰還
ウ)水上部隊(上記以外の艦隊)
  夜間移動/艦砲射撃/ネズミ輸送/帰還
エ)基地機
    空襲のみ
 
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マップは、南太平洋、海峡、鉄底海峡(Iron Bottom Sound、以下IBS)、サンタクルーズ諸島のわずか4エリア。編成によって、進入できるエリアに制限があるため、必然的に戦闘はガダルカナル中心となります。
ガ島の支配を得るためには輸送船や補給を送るのですが、そのため、海空の立体作戦が必要となります。モデルケースとしては・・・
 
1)空母機動部隊によって、ガ島周辺の海域の制海権を得る。両軍がこれを行う過程で、必然的に空母戦が発生する。

2)水上艦による艦砲射撃や空母による空襲で、ガ島の基地機を排除する。これを妨害するために、空母機動部隊とガ島基地機の空襲や水上戦闘が起こる。

3)鉄底海峡の安全を確保した上で、輸送船や補給を送り込む。これを妨害するために、空母機動部隊とガ島基地機の空襲や水上戦闘が起こる。
 
普通のゲームは、この過程がシークエンスで「見える」わけですが、このアイテムはそこを全くのフリーにしていて、かなり戸惑いました。慣れてくると、次の任務で何を優先すべきか、そのための編成をどうするか、自由度の高い分、いろいろな駆け引きが楽しめます。
 
正直、出版仕立てのころは、「よくわからん」ゲームとして、お蔵入りにしていました。ここ最近、「盆栽ゲームズ」をプレイするようになって、中黒スタイルと気づき・・・引っ張り出してみたら、実に面白い!
 
で、数回のソロ演習の後、本戦に入ります(先ほどふれた「わかりにくい」シークエンスのため、第1ターンのみは、詳細に表記します)。
 
第1ターン、先手となるアメリカ軍は、鉄底海峡に艦隊を送るための準備として、空母ワスプをサンタクルーズ諸島に送ります。対する日本軍も、空母龍驤をスロットに派遣します。
 
第3ラウンドに、アメリカ軍はDDに護衛された補給船を、鉄底海峡に送り込み、2VPを獲得します(補給線の確保)。
 
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これに対し、日本軍は、大和・陸奥を含む強力な水上艦隊を派遣し、ここを制圧します。
 
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第5ラウンド、アメリカ軍は空母エンタープライズ、サラトガの機動部隊を、鉄底海峡に突入させ、敵戦艦隊に一方的に空襲をかけます。この時、日本軍の対空砲火が鮮烈を極め、なんと4ヒット。攻撃力の落ちた艦載機で、大和・陸奥を小中破するのがやっと。
 
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第6ラウンド、生き残った重巡が、ガ島へ艦砲射撃をお見舞いし、基地機を粉砕してしまいます(2ヒット)。
 
第7ラウンド、アメリカ軍は二度目となるDDに護衛された補給船を、鉄底海峡に送り込み、再び、2VPを獲得します(補給線の確保)。
 
第8ラウンド、日本軍も同様に、金剛級の高速戦艦4隻を基幹にした水上艦艇を派遣。DDを排除します。
 
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第9ラウンド、ならば、今度は空母ワスプが空襲を行いますが、単艦では霧島を中破させるのがやっと。生き残った日本艦艇は、二度目となる艦砲射撃で、ヘンダーソン基地にさらなる打撃を与え、1VPを獲得します。
 
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と、ここで満を持して、翔鶴・瑞鶴の日本軍機動部隊が南太平洋に進出します。アメリカ軍には空母ワスプのみであり、劣勢は明らかだったため、やむなく、これを撤収させます。
 
完全な制空権を得た日本軍は、鉄底海峡に輸送船を投入します。アメリカ軍には戦艦ノースカロライナと重巡3ユニットがいましたが、空母からの空襲を考えて、投入を断念。日本軍の輸送船が揚陸に成功し、3VPを獲得します。
 
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第1ターンを終わった時点で、総VPは±0に。
 水上艦による艦砲射撃…日本軍1VP
 空母によるガ島空襲 …日本軍2VP
 輸送船揚陸     …日本軍3VP
 初期得点            …アメリカ軍2VP
  補給船確保     …アメリカ軍4VP
 
第2ターン、先手のアメリカ軍はガ島への補給線設定を目指し、駆逐艦隊を鉄底海峡に投入しますが、増強されたラバウル航空隊がこれを迎撃し、撃沈してしまいます。
 
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と、日本軍は有力な空母機動部隊を南太平洋に展開し、圧力をかけます。空母には空母と、アメリカ軍も3隻の正規空母を投入。ここに、空母6隻による南太平洋海戦が発生します。激しい空襲の結果、両軍の空母が大きな損害を受けます。
 日本軍  …瑞鶴、瑞鳳沈没。
 アメリカ軍…ホーネット沈没。エンタープライズ、サラトガ中破
 
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攻める日本軍は、ここで3隻となった金剛級の高速戦艦と重巡を投入。艦砲射撃により、ヘンダーソン基地に2ヒットを与えます。
 
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さらに、生き残った翔鶴とワスプで、第二次南太平洋海戦に。結果は、両軍とも全滅となり、アメリカ軍の稼働空母は一時的に零になります。
 
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この隙をついて、日本軍がもう1ユニットの輸送船の揚陸に成功し、3VPを獲得し、ついにヘンダーソン基地を奪還します!
 
第2ターンを終わった時点で、総VPは日本軍+1。
 水上艦による艦砲射撃…日本軍2VP
 輸送船揚陸     …日本軍3VP
  補給船確保     …アメリカ軍4VP
 
続く、第3ターン、空母がないアメリカ軍に対し、日本軍が終始、優勢に戦いを進めます。
 
やむなく、戦艦と重巡による水上艦隊を投入したアメリカ軍に、日本軍は空母による空襲を実施。これを撃退してしまいます。
 
日本軍は、航空優勢の傘の下、駆逐艦による補給作戦「東京エクスプレス」を実施し、地道にVPを稼ぎます。
 
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さらに、軽巡・駆逐艦に守られた輸送船団を派遣し、一気に勝負を付けに来ますが、アメリカ軍は生き残った艦艇を結集し、これをかろうじて撃退します。
 
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が、その後に、後続の輸送船団が現れ、揚陸に成功します。これで、VPは日本軍有利の6点になります。
 水上艦による艦砲射撃…日本軍3VP
 東京エクスプレス  …日本軍1VP
 
第4ターン、やっとエンタープライズとサラトガが損害から回復し、両軍は最終決戦へ。
 
まず、戦艦サウスダコタを単独(!)で鉄底海峡に突入させますが、これが日本軍潜水艦の警戒網にかかり、触雷!ガ島を前に、無念の撤収をします。
 
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この隙をついて、日本軍は東京エクスプレスを成功させ、得点は日本軍7VPまで上昇します。
 
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絶体絶命となったアメリカ軍は、ここから逆襲を始めます。エンタープレイズでガ島空襲を行い、2ヒットを上げる僥倖で、1VPを取り戻します。気合いが乗り移ったのか、この直後に行われた東京エクスプレスは、わずか1/6の確率で失敗してしまいます。
 
流れを掴んだアメリカ軍は、水上艦隊を惜しげもなく投入し、補給線確保で4VPをゲット。驚異の粘りで、日本軍のVPを2点にまで削ります。
 
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しかしながら、、一か八かで投入した輸送艦隊は、隼鷹と海鷹の前に、鉄底海峡の藻屑に。
 
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これで水上艦は底をつき、あとは日本軍が一度でも揚陸を成功させれば、勝利は間違いなしに。
 
最終盤に、戦艦比叡及び大量の重巡・駆逐艦に守られた日本軍の輸送船団(2ユニット)が鉄底海峡に出発します。これに対し、アメリカ軍潜水艦が迎撃し、軽巡1ステップを除去。さらに、空母サラトガが決死の爆撃を行い、輸送船1ユニットを除去しましたが・・・最後の1隻が揚陸に成功し、ジ・エンドに。
 
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なおも、容赦ない日本軍は、隼鷹と海鷹を持って空母戦をしかけ、空母サラトガを撃沈して、見事に幕を引きました。
 
終了時の得点は、日本軍+2で、日本軍の勝利。
 東京エクスプレス  …日本軍1VP
 輸送船揚陸     …日本軍3VP
  補給船確保     …アメリカ軍4VP
 空母によるガ島空襲 …アメリカ軍1VP
  敵主力艦の撃沈   …アメリカ軍3VP
 
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わずか4ターンながら、シンプルなシステムと知恵を絞る駆け引きで、ガ島をめぐる激しい戦闘が表現されています。ゆっくりインストしても2時間程度なので、ご要望があればちはら会でいかがでしょうか?