今月のソロプレイ第2弾は、同じく太平洋陸海空キャンペーンから、「太平洋空母決戦」(CMJ)です。このアイテムは、2012年度版WGHBの付録ゲームで、マーカーを含めわずか90ユニットと4ページのルールで、1943年末までの太平洋戦役を描きます。このところ、抜群のキレを見せる、2010年代中黒デザインの嚆矢と言える作品です。
 
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本命の艦船ユニットは、空母と新鋭戦艦が1隻につき、それ以外は戦隊ごとに、1ユニットとなっています。これに、陸軍機(LAC)と輸送艦が加わります。残りのほとんどは、占領や修理のマーカーです。
 
マップは基本的にポイントトゥポイントで、空母等の機動部隊のみは、海域も利用することができます。両軍の機動部隊の柔軟性を現しているものと考えられます(が、ゲームではほとんどが、移動力の多いライン移動になり、海域はほとんど使用せず)。
 
移動は、日本軍-連合軍が交互に手番を行い、ランダム判定により5-8ラウンドとなります。無尽蔵の補給のあるアメリカ軍と違い、日本軍には、厳しい燃料制限があります。何をするにも燃料を消費するため、時間が経つにつれ、必然的に展開が狭まります。
 
戦闘は、極簡単。敵ユニットに自軍を割当て、ステップ数分だけdrし、戦闘力以下で1ヒットを与えます。この時、空母または基地機がいる側は、任意で航空戦(航空兵力だけが攻撃を行える)を選択できるため、空軍力を持つ側が一方的に攻撃をすることになります。まさに、史実の航空優勢主義です。
 
勝利判定は、最終ターンに両軍が占領していたVP(と連合軍の壊滅した陸軍ユニット数)の合計になります。これが殊の外、日本軍に厳しく、ルール通りではまず持って日本軍の敗北となります。
 
このゲームについては、CMJ誌106号と107号に、F男さんによる優れた作戦研究があり、これを参考に、ソロ演習をしてみました。で、今回の日本軍は、その中の「ジョンストン島攻略作戦」を実行してみます。果たして、中部太平洋の奇襲は、連合軍の反攻にどこまで通用するのか?!
 
第1ターンは、まずは定石の真珠湾攻撃から。中部太平洋にいる日本機動部隊を使って、真珠湾攻撃を行います。6隻の空母による空襲で、確率的には旧式戦艦隊を撃滅できるはずでしたが、惜しくも撃ち洩らします。LACによる逆襲は失敗で、敵の全滅こそできませんでしたが、まずまずのスタートです。
 
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その後は、ボルネオ以外には東南アジアに一切、兵力を送らず、主力を中部太平洋に向けます。マリアナ海峡を陸軍で制圧し、そのまま、本土の陸軍でミッドウェイ島を攻略します。
 
これに対し、連合軍はハワイ島のLACをオーストラリア経由で、ジャワ島に送り、ここからボルネオ空襲をします。戦闘drが抜群で、第二艦隊を撃滅してしまいます。
 
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敵の陸軍航空隊の脅威に、トラックに戻っていた南雲機動部隊は、電撃的にインドネシアに侵攻し、空襲でLACに1ヒットを与えます。が、殊勲のLACも猛烈な反撃で、高速戦艦隊を損傷させます。
 
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作戦的にはまずまず、想定内の侵攻ですが、思いの外の損害もあり、厳しいスタートです。
 
[第1ターン終了時点]
 日本軍VP…9点(マリアナ、ラバウル、アッツ島、ボルネオ、ミッドウェイ島)
 残存燃料…23ポイント
 
真打ちの第2ターン、前ターンの再配置で、トラック島に集結していた聯合艦隊主力及び輸送船が、出港します。目標は、ジョンストン島!空母に守られた大船団がジョンストン島沖に到達します。
 
これに対し、連合軍はハワイ諸島の空母機動部隊を迎撃に差し向けます。ここに、史上初の空母決戦が惹起します。その結果は・・・空母及び護衛艦艇を個別に狙ったアメリカ軍の空襲で、空母赤城が沈没し、戦艦隊2つが損傷。対する日本軍は、不沈空母エンタープライズに目標を絞り、全力攻撃でこれを撃沈します。
 
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両軍が航空兵力による死闘を繰り広げている間に、陸軍一木支隊がジョンストン島を攻略。ここに海軍航空隊を送り込んで、拠点化することに成功します。これにより、海兵隊が登場するまでは、アメリカ軍が奪還することは不可能になります。やむなく、連合軍は前線を増強しながら、ラバウルとアッツ島を取り返すゲリラ的対応に終始します。
 
しばらく、安泰の日本軍は、主力は燃料消費を嫌って、トラックに籠もって動かず。補給切れで敵が損耗したフィリピンに陸軍を上陸させ、ここを占領する程度です。
 
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[第2ターン終了時点]
 日本軍VP…9点(マリアナ、ボルネオ、フィリピン、ミッドウェイ島、ジョンストン島)
 残存燃料…16ポイント
 
第3ターン、どうせなら行けるところまで全力で、と日本軍は南太平洋制圧に乗り出します。ラバウルとガダルカナル島を陸軍で占拠すると、本命のフィジーに侵攻。機動部隊による二度の空襲で、敵LACを撃滅します。が、さすがにこのターンの上陸は間に合わず、フィジーはギリギリのところで、連合軍が死守します。
 
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一方、次ターンの本格反攻を目論むアメリカ軍は、前哨基地にある敵の航空隊の撃滅に努めます。ハワイ諸島から飛び立ったLAC4ステップが、ジョンストン島とミッドウェイ島を空襲します。日本軍も空中戦で抵抗しましたが、執拗な攻撃により、両島の航空兵力は全滅となります。
 
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[第3ターン終了時点]
 日本軍VP…14点(マリアナ、ボルネオ、フィリピン、ミッドウェイ島、ジョンストン島、ラバウル、ガダルカナル島)
 残存燃料…11ポイント
 
第4ターン、いよいよ、海兵隊が登場し、連合軍の反攻が始まります。前ターンに敵航空隊を排除したジョンストン島に海兵隊が上陸し、早くもここを奪還します。そのまま、1個艦隊がミッドウェイ島に侵攻し、攻略に取りかかります。
 
中部太平洋での前進を終えた連合軍は、続いて南太平洋での反撃に移ります。真珠湾攻撃から回復した旧式戦艦が、フィジー経由でガダルカナル島で侵攻。これに対し、日本軍は戦艦大和を含む水上艦隊4ユニットを派遣し、一撃で旧式戦艦を屠ります。
 
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「敵艦隊、動く」の報に接したアメリカ軍は、すかさず、真珠湾から空母機動部隊を出撃させます。目標は、敵の水上艦艇群。5隻の空母艦載機が練度の高さを発揮し、一方的な空襲により、大和を除く3隻を撃沈します。占領地こそ大きく変わりませんが、日本軍の損害の多さに、先行き不安になります。
 
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[第4ターン終了時点]
 日本軍VP…10点(マリアナ、ボルネオ、フィリピン、ラバウル、ガダルカナル島)
 残存燃料…10ポイント
 
第5ターン、前ターンに消耗した空母を修理しつつ、連合軍は中部太平洋からの前進を再開します。主力となったのは、戦艦隊と基地航空隊。序盤にマーシャル諸島を海兵隊で奪取すると、一大航空基地を作り上げます。
ここに7ステップのLACを送り込み、猛烈な航空撃滅戦を仕掛けます。目標は、マリアナ諸島!まず、初空襲で敵のLACを一撃で撃破。
 
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本来なら、トラックの空母群で基地機を叩きたいところですが、燃料不足と史実のラバウル消耗戦の二の舞にならないように、出動せず。代わりに、やむなく本土から大和と武蔵、輸送船を投入し、死守の構えを見せます。
 
この戦艦隊を、LACが猛爆撃をし、巨大戦艦に1ステップずつを与えます。この2隻はターン終了時に修理のため、本国に回航する羽目になり、ますます、日本軍の戦力が厳しくなります。
 
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[第5ターン終了時点]
 日本軍VP…10点(マリアナ、ボルネオ、フィリピン、ラバウル、ガダルカナル島)
 残存燃料…9ポイント
 
第6ターン、準備万端となったアメリカ軍は、マーシャル諸島から敵の本丸であるトラック諸島に航空撃滅戦を仕掛けます。3度による猛烈な空襲によって、燃料不足で泊地に籠もっていた日本機動部隊が大きな損害を受けます。飛龍、翔鶴、隼鷹がなすすべなく撃沈され、瑞鶴も損傷します。対する反撃は、わずかに敵LACに1ヒットのみ。
 
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このままでは全滅すると判断した連合艦隊司令部は、トラック諸島からの撤退を命令し、機動部隊は本土へ引き上げます。すかさず、アメリカ軍が侵攻し、ターン終了時にここを占拠します。また、ガダルカナルに籠もっていた1個師団も、海兵隊2個師団が排除し、ここも奪還します。
 
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[第6ターン終了時点]
 日本軍VP…7点(マリアナ、ボルネオ、フィリピン、ラバウル)
 残存燃料…9ポイント
 
最終の第7ターンは、ミクロネシアとその周辺をめぐる激闘となります。もはや、勝利はないものの最後まで闘う意志を固めた日本軍は、マリアナとフィリピンへ陸上機と戦艦隊を送り込み、死守態勢に入ります。
 
これに対し、パラオを陥落させたアメリカ軍はLAC、空母機動部隊、戦艦隊が総力を上げて、攻撃に出ます。LACの長距離反復攻撃を皮切りに、機動部隊による空襲により、フィリピンにいた武蔵と敵のLACを撃破します。
 
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やむなく日本軍は、本土にいた機動部隊をマリアナに送ると、虎の子のLACをマリアナからフィリピンに移送し、全滅上等の遅滞行動を行います。
 
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アメリカ軍は、ここに機動部隊+輸送船の攻略部隊を送りましたが、さすがにLACの撃滅はできず、後退。と、ここでdr判定によって、ゲーム終了となりました。
 
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[第7ターン終了時点]
 日本軍VP  …6点(マリアナ、ボルネオ、フィリピン)
 残存燃料   …9ポイント
 アメリカ軍VP…27点
 
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F男氏推奨の日本軍VPの2倍調整を行っても、連合軍の確実な勝利でした。ゲーム上は日本軍の勝利はないものの、展開自体が楽しく、もしかしたら、という夢を見れるあたりが、このゲームの魅力ですかね~。