今月の(今年の)ソロプレイ第1弾は、CMJ最新号から「バルジ大作戦[師団級]」(CMJ)です。かつて「シミュレーション入門1」に収録された一つで、表題の通り、師団規模でバルジ戦を表現します。デザイナーズ・ノートによれば、通称.エポックバルジへのステップアップあるいは、オマージュとなっています。

実は・・・個人的に師団規模のバルジ戦にはよいイメージがなかったんです。同じく入門用アイテムを集めた「Basic3」(HJ)は、あまりにブラディなCRTと第1ターン投了(!)という勝利条件で、完全に破綻していました。SSシリーズの「バルジ」(翔企画)はゲームにはなりますが、非常にトリッキーなシステムで、かつドイツ軍に相当厳しく、個人的に受け入れにくかった記憶があります。
が、ここ最近、新作や発掘品をプレイして、見解が変わりまして。OPシステムを使った「Aus dem Traum」(旧GJ) が師団級のミニゲームながら、きちんとバルジになったし、戦術チットを使った「激突!バルジ突破作戦」(GJ) は史実に裏付けられたランダム要素が楽しく、さもありなんと納得できる展開でした。
http://blogs.yahoo.co.jp/mitsu005jp/11660570.html
http://blogs.yahoo.co.jp/mitsu005jp/11653681.html
http://blogs.yahoo.co.jp/mitsu005jp/11660570.html
http://blogs.yahoo.co.jp/mitsu005jp/11653681.html
CMJ誌の中黒氏もネットで触れていますが、本来は連隊規模、または規模の大きな大隊規模での再現がふさわしい戦場で、師団級(規模)でまともなバルジになるのか?という本質的な危惧はあります。この「バルジ大作戦[師団級]」(CMJ)は、まさに正統派の手順を持つ師団級(規模)です。
システムは、移動-戦闘のみ。CRTは基本は後退型ですが、突進と呼ばれる機械化部隊の戦闘後前進が敵の退却数だけ行えます。初めのうちはこの突進による包囲が強力すぎて、連合軍が戦線を維持できない事態が続きました。一時はC級アイテム?と判断しそうになりましたが、ひっかかりを感じてプレイを繰り返したところ・・・連合軍の防御策が見えてきました。完全な戦線を作るからいけないんだ!と。
本作は、地形効果がよく練り込まれていて、それを見極められるようになると、交差点を維持して、被包囲とドイツ軍の突破を防げるようになります。もちろん、師団規模なので戦闘drによる振れは大きく、(特に初期は)なすすべがない状況もありますが、決してドイツ軍必勝ではありません。逆に、連合軍が適切な手を打って少しばかりdrに恵まれると、ドイツ軍が後一歩届かず、といった展開になることも。
なお、中黒氏の記事にもありますが、第1ターンの攻撃が強力すぎて部隊が消滅し、ゲームにならないことが多いので、今回は「第1ターンの攻撃2シフト」を適用せずにプレイしました。もう一つの補正案候補として、第1ターンの「ドイツ軍移動禁止」もありますが、こちらを取り入れたところ、突破らしい突破が起きず、連合軍圧勝になったので、上記にしています。
では、ソロAARに移ります。
第1ターン、ドイツ軍は序盤に敵の戦力を削るべく、各戦区で移動と突進による包囲攻撃を行います。第6SS装甲軍戦区では、第14騎兵連隊を6:1攻撃し、2へクスの後退をさせます。そこを突破した第1SS装甲師団が第99歩兵師団を包囲し、2:1攻撃で1損害を与えます。また、第2歩兵師団にも1個装甲+1個歩兵師団で2:1攻撃をかけ、1へクスの後退にし、突進した第12装甲師団が第9歩兵師団を包囲下におきます。
中央と南部では、歩兵が間隙から浸透し、第106歩兵師団と第4歩兵師団を包囲攻撃し、戦力を半減させます。第28歩兵師団もD1となりますが、地形を利用した後退で第116装甲師団の突進は許さず。

連合軍にとって幸いだったのが、一発除去のユニットがなく、包囲下ながらも前線を維持できたことで、生き残りの歩兵をサンビットとクレルヴォに後退させ、唯一の機甲師団を後方で予備とします。

第2ターン、地形に阻まれたドイツ軍は、目立った前進はなく、ポケットの掃討を行います。連合軍は、5個師団の増援を得て、交差点を中心にオイペン-マルメディ-ヴィールサルム-クレルヴォの防衛線を引きます。

第3ターン、ドイツ軍は中央を第5装甲軍が、北部を第6SS装甲軍が強襲し、マルメディとヴィールサルムを奪取します。が、3個装甲師団を投じたサンビットは1損害で落とせず。クレルヴォはA1として後退となります。

連合軍は、南部から第10機甲師団を投入して、マルメディ西-トロワポン-マネー-ウーファリーズ-バストーニュの防衛線を再構築します。

第4ターン、サンビットに引導を渡すとともに、正面が堅いと判断したドイツ軍はオイペン・トロワポン・バストーニュの南北で攻勢に出て、戦線の拡大を図ります。サンビットから北部では攻撃が成功し、連合軍はさらなる後退を余儀なくされます。が、バストーニュの両端では、EXとA1と頑強な抵抗をし、一歩も引かず。

第5ターン、地形効果の少ない中央部を中心に、サンビット攻略部隊も転用したドイツ軍が猛攻をかけます。ヴェルヴィエ前面とトロワポン西方の戦闘で第6SS装甲軍が強烈な攻撃を見舞い、敵を後退させます。が、イギリス軍の早期介入を恐れて、リエージュから4へクス以内には突進できず。

また、バストーニュ南部はD1となりますが、機甲部隊がいないため、戦果の拡大はできず。マネー西方でEX、バストーニュ北でA1と交差点を中心に包囲されないギリギリで、戦線を支えます。
第6ターン、イギリス軍介入前にドイツ軍が最後の大攻勢に出ます。アムドレーブ川近郊で足止めをしていた第14機甲連隊に7:1攻撃を加え、これを殲滅。北部へのZOC無視の突進で、スパ後方にいた第82空挺師団を包囲し、これに第1装甲師団が攻撃を加えて、一発除去!また、一部はリエージュの隣接へクスに前進し、敵の機動を阻害します。さらに、第1装甲師団が戦闘後前進で、ヴィルヴィエを包囲し、1損害を与えます。また、バストーニュ南北でもやっと攻撃がかみ合い、ともにD2として戦線を後退させ、バストーニュを孤立化させます。

これに対し、増援を得た連合軍は、北部で猛烈な反撃を開始します。リエージュ近郊に突出したFB旅団を4個のイギリス軍歩兵師団が包囲攻撃し、一撃で排除。さらにヴィルヴィエ後方に回り込んだLAH師団も包囲して、D1の損害を与えます。

このターンが終わった時点で、ドイツ軍VPはわずかに8点。もう1カ所の突破を見込むと、あと2カ所の都市を奪取できるかどうか?ギリギリの展開です。
第7ターン、なんとしても勝利を引き寄せたいドイツ軍は、損害上等で重要都市2カ所に攻撃をかけます。その結果、損害を受けて消耗していたヴィルヴィエ守備隊が全滅し、ついにこれを占領。同時に、やっと包囲したバストーニュにも2:1攻撃をかけ、1損害を与えます。

連合軍も決死の反撃を行い、北部で第1SS装甲師団と第3装甲擲弾兵師団を殲滅します。南部ではバストーニュの側面にいた歩兵師団を排除し、一時的に連絡を回復します。このとき、機甲師団を突進でバストーニュに投入できたのですが、反撃戦力を維持することを優先し、そのまま放置してしまい・・・。

第8ターン、ドイツ軍は最後の力を振り絞り、スパとバストーニュに攻撃をかけます。結果、空軍の妨害に遭いながらも、バストーニュをついに占領し、VPは辛勝レベルに到達します。一方のスパも残った装甲師団が確立の壁を押し開け、守備隊に1損害を与えます。
これ以上の占領を許せない連合軍は、北部で増援を阻止している装甲師団に、機甲兵力を集中して4:1攻撃をかけます。1さえ出なければ、これを排除してスパに増援を送り込めるはずでしたが・・・ああ、無情にもEX。

第9ターン、ドイツ軍がこのチャンスを見逃すはずもなく、全力でスパを攻撃し、空軍が介入できない高比率で、ついにこの都市を陥落させます。

以後、連合軍は空軍を投入して、スパおよびバストーニュ奪還の猛反撃を行いますが、死守命令を発するドイツ軍の前に、後一歩届かず。
結果、第10ターン終了時にドイツ軍が12VPを確保し、辛勝となりました。

思い返せば、第7ターンのバストーニュ解放時に機甲師団を増援で入れていれば、そしてスパ包囲網の解放でEX以外を出していれば、VPは10点止まりで、連合軍の勝利でした。そういった意味では、補正案を取り入れた上でやりこめば(連合軍が適切な判断をすれば)、十分に機能すると思います。
癖があるので、インスト向けとは言えませんが、ご希望があれば、連合軍でお相手できますよ~。
なお、このソロプレイで、 西部戦線1944ジャンルのプレイ率が5割となりました。ジャンル別記事の更新と関係の新記事を作成しましたので、そちらもご覧ください。