今月のソロプレイ第4弾は、同じく「ROYAL NAVY」(CMJ)からWWⅠシナリオのS5「コロネル沖海戦」です。太平洋を横断したドイツ東洋艦隊が、イギリス軍の迎撃を受けたもので、主力は両軍ともに2隻の装甲巡洋艦です。なお、このシナリオからは、選択ルールの砲撃修整を適用しています。
イギリス軍は、強力な主砲ながら砲門数で劣る装甲巡洋艦グッド・ホープと、逆に砲門数は高いものの貫通力は副砲並み(6inch砲)のモンマウス。乗員は予備役だったため、国籍修整は通常の+5ではなく、+8となります。これに軽巡グラスゴウと仮装巡洋艦オトラントが加わります。
対するドイツ軍は、その4年後に完成した装甲巡洋艦シャルンホルストとグナイゼナウで、貫通力に優れた安定した火力と適度な装甲を誇ります。さらに、優秀な乗組員を反映して国籍修整は通常の+2ではなく、なんと-8です。加えて、軽巡ライプチッヒとドレスデン、ニュルンベルクが配備されています。
第1ターンのみは、移動が終了した時点から開始となります。ともに7へクスの距離に敵を捕らえた両軍は、果敢に砲撃を開始します。が、ただでさえ、練度の劣るイギリス軍の砲撃は効果なし。対するドイツ軍は、装甲巡洋艦2隻が命中弾を出し、グッド・ホープの後部主砲を吹き飛ばし、火災を発生させます。さらに、奇跡的に艦橋の間隙に命中した3.5inch砲により、指揮官クラドック少将が戦死してしまいます(次ターンに砲撃不可能)。

第2ターン、火力で劣るイギリス軍はなんとか副砲を使用するために、2へクスの接近をします。距離が縮まったために、命中率は30%上昇します。これにより、イギリス軍は、装甲巡洋艦モンマウスがグナイゼナウに命中弾を与え、副砲1門と魚雷発射管を破壊します。

が、ドイツ艦隊の砲撃も鮮烈を極めます。巡洋戦艦シャルンホルストがグッド・ホープに、8.2inch主砲3発、HE弾3発、3.5inch砲5発を命中させ、残った前部主砲を吹き飛ばし、船体に1損害を与えます。同時にグナイゼナウがお返しとばかりに、モンマウスに計6発の命中弾を出し、副砲2基と魚雷発射管を破壊。さらに、特殊損害で舵に損傷を与え、3ターンの間、転舵ができなくなります。グラスゴウとオトラントも損害を受け、一時的に3隻に火災が発生します。
第3ターン、このままでは押し切られると判断したイギリス海軍は、さらに距離を詰めて一か八かの接近戦に移ります。近距離となったため、基本命中修整は-70と驚異的な数値に。

この距離から放たれる砲弾は、ほとんどが敵艦に吸い込まれていきます。巡洋戦艦シャルンホルストがグッドホープを直撃し、延べ12発の命中弾でMFCと副砲2基を破壊し、船体に4損害と速度低下1を与えます。攻撃能力を失ったグッドホープは、サンドバッグ状態に。グナイゼナウも12発の命中弾を出しますが、幸運にも距離があったため、装甲を貫通せず、損害はなし。一方で、軽巡隊もグラスゴウとオトラントに、軽~中程度の損害を与えます。
対するイギリス軍装甲巡洋艦も必死の反撃で計7発の命中弾を出しますが、6inch砲ではシャルンホルスト級の装甲を貫通できず。
ここで、一隻で気を吐いたのが、軽巡グラスゴウで、ライプチッヒに4発の命中弾を出し、主砲1基、副砲2基、船体3損害を与えます。これにより、発生した火災が延焼し、なんと軽巡ライプチッヒが沈没!両軍を通じて初の喪失艦になります。
第4ターン、激化する戦闘は、自力で勝るドイツ軍に有利に展開します。まず、8.2inch主砲弾6発を浴びた装甲巡洋艦グッド・ホープが、ついに沈没!もう一隻のモンマウスも延べ16発の命中弾を受け、主砲塔2基、船体2の損害を受け、さらに速度も-2に。モンマウスの反撃は、グナイゼナウに船体1、速度-1を与えるのにとどまります。
ここで、またも気を吐いたのが、軽巡グラスゴウで、新たに照準をしたドレスデンに4発の6inch砲弾を命中させ、船体4損害と全推進力喪失の重大なダメージを与えます。ほぼ停止状態のドレスデンは、次ターンにもグラスゴウの猛射を受け、火災が発生!ああ、またも延焼で、軽巡ドレスデンが太平洋の藻屑と消えます。

が、軽巡グラスゴウの幸運も、ここまででした。神がかりなまでの活躍で同級の軽巡2隻を平らげたイギリス軍軽巡に対し、第5ターン、装甲巡洋艦シャルンホルストが咆吼します。強力無比な主砲弾が、軽巡グラスゴウのヴァイタルパートを打ち抜き、瞬時にして撃沈!さらに満身創痍だったモンマウスも、主砲塔を貫通したグナイゼナウの8.2inch砲弾によって、誘爆!栄光のイギリス海軍は、仮装巡洋艦オトラント1隻を残すのみ。

最終の第6ターン、絶望的な状況のオトラントは最後の抵抗を示し、軽巡ニュルンベルクに2発の命中弾を与え、MFCと主砲塔1基を破壊します。が、直後に生き残った3隻から猛烈な砲撃を受け、撃沈!コロネル沖海戦は、史実通り、ドイツ軍の勝利で幕を下ろしました。

今回は、ドイツ軍の圧勝となりましたが、生き延びたドイツ艦隊も、わずか1ヶ月後には、フォークランド沖で火力・速度に勝るイギリス軍巡洋戦艦の前に完敗します。この時の主役が、4年後に建造された巡洋戦艦インヴィンシブルとインフレキシブルでした。ドレッドノートの登場以来、日進月歩で進化する建艦技術の差が、大きく勝敗を分けることになりました。