年初めの記事で書いたとおり、今年はできるだけソロ記事を復活させたいと考えています。とりあえず、しばらく更新していないWWⅡの西部戦線1944年ジャンルから、未プレイのバルジ戦あたりを狙ってみようと思います。
今月のソロプレイは、バルジ戦役の前半戦を描いた「Tigers in the Mist」(CMJ)です。このアイテムは、同人出版だったものをGMTがボックス販売し、それをCMJが付録化したものです。

マップはエリア式で、戦闘はファイヤーパワーと一見馴染みのないバルジです。地形がただのマークだとか(道路と橋梁以外は全て同じ!)、ドイツ軍がミューズ川に行きすぎるとか、批評もあります。
が、このゲームの本質は、史実に忠実な展開ではなく、いかにバルジらしさを表現するか、にあります。サンビットもバストーニュも「ただの地形」ですが、交差点を巡る拠点ごとの戦闘や砲兵の重要性、橋梁爆破と架橋など、まさに雰囲気がバルジそのものです。
また、デベロップが秀逸で、戦闘に焦点を置いたプレイが、実に楽しい。ドイツ軍は交通渋滞を避けながら、いかに効率的に部隊を前線に送り込むか、消耗した部隊を入れ替え、攻勢を維持するかに頭を使います。最良の展開をしても、防御側有利な戦闘システムと振り幅の大きいdr(1d10)によって、圧倒的な攻撃が頓挫することも。
逆に連合軍は、バルジ戦役の前半戦のみ(22日)までなので、苦しいだけと思われがちですが、優秀な砲兵や寡兵による足止め、橋梁の爆破など、考える要素も多く、こちらもいい意味で知恵を絞ります。また、防御砲撃と射撃を先に行えるので、劣勢の連合軍が、意地の抵抗を行えます。
また、砲兵の要請から始まり、ユニットのグレードに応じた目標選定、同時解決ではない射撃など、想像力をかき立てる戦術的展開も優れものです。質量ともに優越したアメリカ軍の砲撃、近距離で待ち伏せてドイツ軍のAFVを撃破するシャーマン、敵歩兵を防御射撃でなぎ払う歩兵、そして、それを生き延びたドイツ軍による猛烈な攻撃・・・プレイを終えると、無性に小隊規模の戦術級をプレイしたくなるんです。このシステムは、ある意味、WWⅡの作戦戦術級の優秀なモデルでも有り、バルジ以外でも十分、通用する汎用性を持っていると思います。
今回は、まず、練習シナリオの「第7軍の攻撃」をプレイしてみます。
12月16日第1インパルス、このターンはドイツ軍に常時、スタック制限が課されるので、大きな前進は見込めません。そこで、NusbaumとIrrelに集結した第212及び第276擲弾兵師団を渡河させ、陣地に籠もる2戦力歩兵を攻撃します。アメリカ軍の防御射撃でそれぞれ1ヒットを受けたものの、歩兵による肉迫攻撃が決まり、2個連隊を撃破します。
同時に、工兵が橋の修復に入り、Irrel-Echternach間の修理に成功します。

アメリカ軍は、移動力の関係で北部からの渡河がないと見てとり、虎の子の第9機甲師団のCCRと駆逐戦車大隊をConsdorfに集結させます。
16日第2インパルス、架橋されたばかりの橋を通って、Bitburgにいた装甲擲弾兵連隊がこのConsdorfに突入します。戦力的には2:1程度で、グレードはアメリカ軍の方が高かったのですが、装甲擲弾兵連隊が奮闘し、2損害と引き替え、これを撃破してしまいます。

アメリカ軍は歩兵による塹壕構築と橋梁破壊を考えて、Luxembourgに2戦力歩兵を、Larochetteに1戦力歩兵を配置します。第3インパルスの増援の機甲大隊は、足止めのため、Junglinsterに展開します。

17日、ドイツ軍の待望の装甲増援がきます(重駆逐大隊!)。エレファント駆逐大隊に幹線道路を突進させ、装甲擲弾兵とのフルスタックでアメリカ軍機甲大隊を攻撃します。圧倒的な戦力差で、機甲大隊は撃破されます。
また、前ターンに迂回させていた国民擲弾兵連隊をLarochetteに突入させます。アメリカ軍は橋梁爆破を試みましたが、これは失敗に終わります。3倍の敵に強襲された機械化歩兵大隊でしたが、砲兵援護の下、2ヒットを与えますが、攻撃射撃で全滅します。

アメリカ軍は、いよいよ、最終防衛線のLuxembourgとMerschに立てこもり、最終ターンを迎えます。

18日第1インパルス、まず、Merschの奪取を狙って、擲弾兵連隊が先駆しますが、ここでアメリカ軍歩兵が、橋の爆破に成功!これにより事実上、Merschの攻略は不可能になります。
ならばと、主力のエレファント大隊と装甲擲弾兵連隊がLuxembourgを強襲します。敵は塹壕に籠もる2個連隊。
両軍の砲兵が咆吼し、近距離での射撃戦が展開されましたが・・・機械化連隊の撃破と引き替えに、アメリカ軍が3ヒットを与え、頑強な抵抗を示します。塹壕の自動車化歩兵がギリギリで踏みとどまり、現地を死守します。

この結果、Merschが連合軍支配下で、Luxembourgが継戦状態となり、連合軍の戦術的勝利が確定しました。慣れれば、30分強のミニシナリオでした。