今月のソロプレイ第一弾は、立ち上げたばかりで勢いのある、戦国以前の日本史アイテムから「源平盛衰記」(GJ)です。その名の通り、源平合戦を描いた戦略級で「30ユニットで30分で終わる」という「30シリーズ」の一作です。でも、そのあと、続編が亡く、シリーズにはなっていないのですが・・・(笑い)。
基本システムは、かの名高い「太平記システム」であり、デザイナーは中嶋真氏。これまで汎用性の高い同システムを用いて、戦国から京都の新選組、幕末任侠(!)など、極めて多くの戦争・戦争を表現してきました。ご自身は「駄菓子ゲーム」とおっしゃっていますが、あれだけ変転のある戦略戦(政略戦)をダイス一発で表現できるのは、このシステムのクオリティの高さでしょう。機動戦向きではありませんが、イニシアチブ判定と相まって、先手・後手の駆け引きが存分に楽しめます。
このゲームでは、京(後白河院)がポイントになり、ここを支配すると、毎ターン、1VPが入ります。そのために、源氏・平氏とも連絡線を確保しながら占領地を増やし、兵力の増強に努めます。十分な兵力が揃ったところで、いざ、畿内へ。
この時、京を支配している側は、総大将がいない限り、武勇1/采配3という後白河院を総大将にせざるを得ません(なんて、迷惑な!)。それを嫌って、総大将を投入しても、平宗盛・源頼朝とも武勇はわずか1であり、戦いに勝っても高い補充能力が後白河院と重複して、補充総数で不利になります。となると、攻める側が有利であり、支配が二転三転するように仕組まれています。
さらに、事態を流動的にするのが、諸国の独立武将です。大規模な戦闘では、両家の家臣だけでは兵力が足りず、必然的に独立武将を投入することになりますが、太平記システム特有の「寝返り」の可能性が出てきます。あの木曾義仲でも、平氏側の後白河院にかかると、1/6で裏切ることがあります。また、セットアップ時に、両家とも諸国の独立武将ランダムで1つずつ引くので、ミニゲームながら、飽きのこない展開になっています。
まず、セットアップですが、源氏には木曾義仲が、平氏には妹尾兼康がきて、ほぼヒストリカルなスタートです。

第1ターンの主導権は、源氏。主力全軍を持って、東海道に進出。これに対し、平氏は義経(武勇4!)の奇襲を恐れて、こちらも全軍を京に進出させます。と、ここで、頼朝だけが鎌倉へ戻って、補充数を高めます。この結果、源氏の補充数は7に対し、平氏はわずか3と大きな差が付きます。

第2ターン、主導権は平氏。このまま、決戦に及んでも勝機は薄いと判断した平氏は、凡庸な総大将の宗盛と中国筋の教経を後退させ、補充値を上げます。源氏は義経が単騎で京へと突入し、後白河院・知盛・妹尾と戦闘に。平氏には十分な8戦力があったのです、やはり、鬼神義経は強かった!わずか1万騎の損害と引き替えに、知盛を敗走させ、妹尾を降参させます。これにより、補充能力は源氏12!:平氏4に広がってしまいます。

第3ターン、このままではジリ貧と、中国に集結した総大将宗盛と教経は、寝返りに賭けて、畿内奪回戦を試みましたが・・・源氏の大兵力を打ち崩せず、敗退します。

一方、鬼神義経はまたも単独で、四国に渡り、屋島の戦いでここを占拠してしまいます。これにより、平氏側の独立諸侯阿波氏が討ち死に。

第4ターン、幸いにして主導権は平氏。このままでは押し切られる平氏は、時間稼ぎのために、宗盛をブラフで京へ。軽戦の後、損害なしで中国に戻ります。なんとか、補充で立て直しをしますが、源氏も範頼・安田勢を上京させ、万全の迎撃態勢を引きます。

もはや、時間のない第5ターン。主導権を握った源氏が積極攻勢に出て、主力の範頼軍が中国へ進みます。宗盛はやっぱり寝返りに賭け、先端を開きますが、落ちぶれた平家には人は集まらず、九州へ敗退します。

一方、四国では蜂起した地元勢に、九州から智将知盛が加勢し、なんと義経を後退させます。

迎えた最終第6ターン、総大将の宗盛が中国に逃げた義経を足止めしている隙に、主力となった知盛勢が、海路から畿内へ乱入します。源氏には15戦力があったにもかかわらず、後白河院の横やりで実力を発揮できず、敗退!ついに平氏が京を奪還します。
一方、軽戦の後に後退も考えていた中国ですが、宗盛が奇跡の6を連発し、義経を圧倒。たまらず潰走した天才武将を押し包んで、討ち取ってしまいました。

と、ここで規定により、ゲームエンド。終盤に見事な盛り返しを行った平氏でしたが、中盤までの累積VPが物をいい、2VPで源氏の勝利となりました。
このソロプレイで、戦国以前の日本史アイテムのプレイ率が5割となりました。そちらの記事も更新していますので、ご覧ください。