歴史・戦史研究「ちはら会」Zwei

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カテゴリ: WWⅡ欧州戦線末期戦

今月のソロプレイ第二弾は、「PANTHER」(ツクダ)の末期戦シナリオD「ティアガルデン」です。ヒトラー死亡後もなお、ベルリンの公園「ティアガルデン」で抵抗を続けるミュンヘベルク師団の生き残りと、ソ連軍の重戦車の掃討戦を描きます。題名の通り、登場する兵力は、ドイツ軍の猛獣シリーズに、ソ連軍が誇示する重戦車スターリンシリーズ、そしてPAKとT34となります。
 
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ドイツ軍には1輌ですが、強力無比なクーニッヒ・ティーガーがあります。その他は、栄光のティーガーⅠが4輌。ただし、燃料枯渇のため、移動できるのは3輌のみで、それも毎フェイズに1/6の確率で移動不能になります。これ以外では、発射速度と隠蔽性に優れたPAK(FLAK)が4門となります。AFVについては、弾薬搭載数のルールが適用されます。
 
対するソ連軍には、攻撃力では圧倒的な122mm砲を搭載したJSシリーズが7輌(!)も登場します。クーニッヒ・ティーガーにこそ、ラッキーヒットが必要ですが、それ以外は命中即昇天の破壊力を発揮します。中でもJSⅢの正面装甲はクーニッヒ・ティーガーでもほぼ撃ち抜くことは不可能です。また、突破を担うT34が5輌(76mm砲搭載型が3輌、85mm砲搭載型が2輌)がいます。
 
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勝利条件は、ソ連軍戦車の4輌以上の突破です。登場ヘクスは中央に固定されているので、考えられる作戦と配置は、以下の通りです。

[ソ連軍]
*重戦車は、敵の抵抗を排除しながら、中央の通りを西進する(一部は路外に迂回し、側面からの攻撃を狙うドイツ軍を制圧する)。
*T34は、南北いずれかの橋を通過し、突破を狙う。

[ドイツ軍]
*中央にクーニッヒ・ティーガーを配置し、防衛の要とする。また、その後方にFLAKとティーガーⅠを配置し、クーニッヒ・ティーガーを掩護させる。
*中央道路を突進して来るであろう敵の側面を突くため、北の草原内にPAKを隠蔽配置する。
*南部の橋付近には、ティーガーⅠの2輌を配置し、迂回してくるT34を迎え撃つ。
 
序盤、ソ連軍は当初の計画に沿って、盤内への移動を開始します。迂回をする高速のT 34を先頭に、中央道路を突進します。
 
これに対し、防衛の要であるクーニッヒ・ティーガーが発砲し、全力で駆け抜ける先頭のT34/76を一撃で撃破します。
 
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ソ連軍も移動中射撃(dr-3)の不利を承知で反撃し、T34/85がクーニッヒ・ティーガーに命中弾を出しますが、掩体壕の隠れた堅い砲塔に弾かれ、全く、効果なし。
 
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第2ターン、今度は最強のJSⅢが王虎に命中させますが、さすがの122mm砲弾を持ってしても、ドイツ軍最強戦車の装甲は破れません。
 
逆に反撃で、交差点で方向転換したT34/85を捉え、やすやすと側面装甲を撃ち抜きます。
 
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その後、近距離へ接近したJSシリーズ7輌(!)が、クーニッヒ・ティーガーに襲いかかります。3ターンまでにのべで6発の122mm砲弾が命中しますが、その悉くをはじき返します。
 
クーニッヒ・ティーガーは途中で2回の排莢不良を起こしながらも、目標を変更した初弾でJSⅡを捉え、またも一撃でこれを撃破。これで、ソ連軍の損害は3両目となります。たった1輌の虎の前に、前進を阻止されるソ連軍最強の重戦車隊!ああ、クーニッヒ・ティーガーは不死身の化け物か!?
 
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しかし、ついに終焉の時が・・・第5フェイズに放たれたJSの2発がともに砲塔に命中!このうち、1発が分厚い防盾を貫通し、蛮勇を振るったドイツ軍の猛獣に止めを刺しました。
 
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すかさず、重戦車隊は前進を再開します。一部は、草原に潜む対戦車砲を狩るために、方向転回をします。
また、同時期に南部への迂回をしていたT34隊に対し、南の橋梁を守るTIGERⅠが発砲し、戦車戦に入ります。
 
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第4ターン、南部のTIGERⅠに対し、中央のJSシリーズが方向を変え、掩護射撃を開始します。これに対し、今度は中央部の森に潜んだTIGERⅠが、重戦車の側面を狙って発砲!さらに、JS隊の一部がこれに応戦と、たちまちのうちに中距離の戦車戦が激化します。
 
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122mm砲と88mm長距離砲の激しい撃ち合いの結果・・・両軍の損害が急速に上昇します。第4ターンの第4フェイズにJSⅡmの放った一撃が、南部のTIGERⅠを撃破!続く、第5ターン、今度は別のJSⅡmの砲弾が中央森林のTIGERⅠを撃滅!
 
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と、このJSⅡmへ草原に埋伏していたPAK40の2門が発砲し、側面装甲を打ち破って、仇を討ちます。また、未だ、行動可能な唯一のドイツ軍戦車221号車が、中央西端の森から、迂回中のJSⅡを遠距離で捉え、これを撃破します。
 
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怒り心頭のソ連軍は、もう一両残ったJSⅡ230号車が、姿を現したPAK40に、暴力的な122mm砲を命中させ、1門を跡形もなく吹き飛ばします。
 
一方、当面の敵がいなくなった南部では、残り3輌となったT34が前進を再開します。装甲の厚いT34/85が、第5ターンの第4フェイズに渡河し、森に潜んだTIGERⅠの近距離砲撃を躱し、突破確実になります。
 
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続く、最終の第6フェイズには、今度はT34/76の2輌が橋に差し掛かります。これに対し、砲塔を回転させたTIGERⅠと森に潜んでいたFLAK37が臨機射撃を実行!221号車の88mm砲が、2両目の戦果を上げますが、もう1輌は突破確実に。
 
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押し迫ってきた第6ターン、時間がないソ連軍は、PAKに側面を晒しながらも、全速前進を開始します。
 
これに対し、北方に配置されたPAK40が800mを越える距離で、APCRを命中させます。命中箇所は、最も弱い車体下部。放たれた特殊徹甲弾が、JSⅡmの装甲を貫き、これを撃破します。
 
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ならば、お返しとばかりに、今度は中央で制圧任務に徹するJSⅡ230号車が、もう一つのPAKを122mm砲弾で撃滅します。
 
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迎えた最終ターン、もはや4輌の突破は困難になりましたが、ソ連軍がベストを尽くし、西端への突進を続けます。
 
中央道路を邁進したJSⅡmが、森林に隠れるTIGERⅠを発見したのは、第3フェイズでした。距離はわずかに100m!が、慌てた両戦軍は、照準が狂ったのか、命中弾なし。
 
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と、中央のPAKの制圧を終え、完全停車中だったJSⅡ230号車が、このTIGERⅠを発見します。500mの中距離から、緊急装填した砲弾を発射!確率はわずかに16.6%でしたが・・・これを見事に命中させます。脅威の122mm砲弾が虎の正面装甲を撃ち抜き、最後の抵抗を排除しました。この時点で、ソ連軍戦車3輌の突破が確定しました。
 
あとは、勝利条件に関与しない掃討戦のみに。2つのPAKと虎1輌を屠った殊勲のJSⅡ230号車が、最後の獲物にと、北部のPAK40に車体正面を向けます。と、この瞬間に、PAK40が絶望的な戦力差ながら、徹甲弾を発射します。低空を這うように伸びた弾道が、JSⅡの車体と砲塔の継ぎ目に命中!(なんと砲塔基部!)ソ連軍最優秀の戦果を上げた230号車を75mm砲のクリティカルヒットが吹き飛ばし、ジ・エンド。
 
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終わってみれば・・・
ソ連軍の突破3輌(T34/76、T34/85、JSⅡm)
で、1輌足りずに、ドイツ軍の勝利に。末期戦の最後を飾るに相応しい激戦でした。
 
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このソロプレイで、欧州戦線末期戦のアイテムの達成率が、6割を越えました。関連記事を更新しましたので、ご覧ください。

6月のなりまして、今月のソロプレイ第一弾は、「PANTHER」(ツクダ)を使った末期戦シナリオ「テンペルホフ空港」です。いわゆるツクダのタンク・コンバット・シリーズを使用したヒストリカル・シナリオで、T誌12号に掲載されました。
 
状況としては、弾薬不足に悩むドイツ軍が空港に戦車掩体壕を掘って、押し寄せるソ連軍を待ち受けるというもの。使用兵力は・・・
ドイツ軍:ヤクトティーガー×1台、ティーガー×2台、4号ラング×2台
ソ連軍:T34/85 ×3台、JSⅡ×3台
ドイツ軍にのみ、弾薬制限が適用されます。その結果、徹甲弾は・・・
ヤクトティーガー(R05)  4発(わずか!)
ティーガー(101) 28発
ティーガー(102) 34発
4号ラング(221) 14発
4号ラング(222) 9発
 
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ティーガーの砲弾は潤沢なものの、貫通力の高い4号ラングの1台が 9発、Stalinでもほぼ一撃で撃破できるヤクトティーガーがわずかに4発!自然と射撃を控えざるを得ず、ソ連軍に命中率が上がる中距離(1000m以下)まで突入されると、やっかいです。
 
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逆に、ソ連軍は、早期に距離を詰められるように、道路に沿って、6台を並べます。JSⅡは正面から、T34は敵の左側面への突入を狙います。
 
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第1ターン、建物の影から表れたT34に対し、Tigerが早くも射撃を開始します。第二斉射で、一発が命中しますが、厚い装甲に弾かれ、効果なし。
 
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第2ターン、同一目標への連続射撃により、ラングとTigerの砲弾がT34に命中しますが、装甲を抜けず。ただ、1250mの遠距離から放たれたラング(222)の一発が、旋回を終えたばかりのStalin(231)のキャタピラを吹き飛ばします(移動不能)。
 
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第3ターン、射程が1000m前後になったことで、ドイツ軍の命中精度が増し、命中弾が増加しますが、未だ、敵装甲を貫けず。
 
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逆に、T34(59)も一発をTIGERⅠ(101)に命中させますが、惜しくも防盾に阻まれて、効果なし。ここまで、命中弾は出るものの、ともに撃破されたAFVはなし。
 
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両軍が中距離となる、運命の第4ターン。距離を詰めたソ連軍が、足を止めて撃ち合いに入ったことで、戦闘は一気に激化します。
 
第1ラウンド、Tiger(101)がT34(59)のキャタピラに命中させ、前進停止。これで、移動不能になったソ連軍は、2台に。
 
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第2ラウンド、ソ連軍は有効射程に入ったものの、マイナス修整を嫌って、すぐに発砲せず、停止。この制動をかけたT34(57)に、もう一両のTiger(102)が射撃し、車体上部に命中。通常ならはじき返すところでしたが、88mm砲弾が装甲の薄いドライバーズハッチを貫通し、見事に撃破!(8.3%)
 
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第3ラウンド、今度は移動不能のT34(59)が、戦車掩体壕に入っていたTiger(101)の砲塔を吹き飛ばし、撃破!
 
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第4ラウンド、猛烈な勢いで再装填をしたTiger(102)は、今度は目標を変え、停止中のT34(59) を射撃。「クルツ、砲塔基部だ!」と言ったかどうか、見事、初弾命中をさせ、そこを直撃!撃破!まさに、黒騎士物語ばりの活躍です。
 
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第5ラウンド、今度は低車高のラング(221)がAPCRを発射し、T34(58) の薄い装甲を貫き、これでT34が全滅します。
 
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最終の第6ラウンドは、真打ちのJagd Tigerが850mに迫ったJSⅡ(230)に、貴重な徹甲弾を使用。貫通力26(!)という化け物じみた砲弾が、重装甲のStalinを貫き、一撃で撃破!
 
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わずか2輌に減ってしまったソ連軍。たった30秒の間に、両軍合わせて、5輌がヴァルハラ送りという凄まじい打撃戦になりました。
 
第5ターン、Tigerの2倍の装填時間を費やしたStalinが発砲。1250mという遠距離でしたが、122mm砲弾がL70(222)を貫き、一矢を報います。
 
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が、第3ラウンド、装填を終えたJagd Tigerが、JSⅡ(232) に初弾命中をさせ、重い砲塔を吹き飛ばして、撃破します。恐るべき、125mm砲!
 
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この後、ドイツ軍は3輌、ソ連軍は移動不能の1輌に減ってしまったため、戦闘は急速に鎮静化します。ドイツ軍が優秀な射撃力を生かして、5発の命中弾を出すものの、遠距離では、到底、Stalinの重装甲は貫けず、戦果なし。Stalin も長い装填時間が徒となり、命中弾を出せずに、ゲーム終了。結果、ドイツ軍が3輌生き残ったため、史実通りの勝利となりました。
 
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ちなみに、このシナリオでのドイツ軍の戦果は、
Jagd Tiger(R05)…JSⅡ 2輌を撃破
TIGERⅠ(102)…T34/85 2輌を撃破
L70 (221)  …T34/85 1輌を撃破
と、虎の活躍が目立ちました。
 
ソ連軍は、
T34/85(59)   …TIGERⅠ1輌を撃破
JSⅡ(231)  …L70 1輌を撃破
でした。

今月のソロプレイ第2弾は、欧州末期戦アイテムから「Seelow & Kustrin 1945」(SA)のシナリオ「ゼーロフ高地の強襲」です。文字通り、ヨーロッパの最終戦となったベルリン攻防戦の序章です。
 
ベルリンに向かう最短ルートである国道1号線を扼しているのが、要塞化されたゼーロフ高地であり、史実ではドイツ軍の巧みな防御戦術により、主力の突破が遅滞します。といっても、わずか一日程度の遅れでして・・・。すでに兵員数及び装甲兵力で約10倍、砲兵力に至っては50倍(!)の差があったわけで、いかなる戦術を持ってしても、突破を防ぐのは不可能でした。
 
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ゲームでも、これは「正確」に表現されています。非装甲ユニットに対しては破壊をまき散らす圧倒的な砲兵力、渋滞を引き起こしがらも無尽蔵に湧いてくる歩兵戦力、精神的にも物理的にもドイツ軍の支柱となる装甲兵力、などなど。シークエンスは(山﨑氏らしい)ちょっと凝ったもので、圧倒的な砲撃の後で、戦車戦力同士の戦車戦、そして通常の歩兵戦となります。ほぼセットアップは固定されていて、2日間の攻防で戦闘の制限のある黎明と薄暮、戦闘のできない夜間となっています。
 
第1ターン、ソ連軍の黎明の砲撃からゲームはスタートします。黎明時には視認が2ヘクスしかできないため、砲撃は4箇所に留まります。が、その分、高密度の砲撃が降り注ぎ、いずれの前線ユニットも損耗の上、敗退となります。
 
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そこに、歩兵戦力が殺到し正面攻撃をかけますが、黎明時の混乱(dr+2)により、北方の1箇所を除き、4箇所でソ連軍が一時後退となります。
 
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対するドイツ軍の砲撃も強力で、混乱した敵に対し総花的に砲撃を行い、3ユニットがステップロスします。
 
痛かったのは回復フェイズで、士気値で優るはずのドイツ軍が、悉く回復に失敗。次ターンの敵の猛攻が憂慮されます。
 
第2ターン、焦るソ連軍は、ジューコフの檄を受け、中央部に集中砲撃を行います。空いた大穴から駆けつけた戦車旅団が突入し、5ユニットが包囲殲滅されます。残りの部隊もハウプト運河に向けて、一斉に後退を行いますが、混乱状態(移動力1/2)が影響して、少なからずのユニットが平地に取り残される事態に。
 
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第3ターン、前線に駆けつけたドイツ装甲兵力とソ連軍の戦車戦力の間に激烈な戦車戦が起こります。ドイツ軍も必死の抵抗をしますが、1個中隊に対し複数の戦車旅団(!)を集中したソ連軍がまさり、1ステップの損害と引き替えに、ドイツ軍の3個中隊が昇天します。確かにStalinやT34/85の大群を相手に、突撃砲では分が悪いか・・・。
 
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余勢を駆って、通常攻撃で早くもハウプト運河越えが可能でしたが、後方にスタックしているSS装甲大隊を警戒し、Stalin重戦車はあえて戦闘後前進をせず。
 
ドイツ軍は、無尽蔵に思える敵歩兵に砲撃を行いながら、やむをえず、SS装甲大隊を分散し、擲弾兵とスタックして戦線を維持します。
 
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第4ターン、中央部が堅いと見たソ連軍は、南部と北部に戦車を迂回させ、突撃を命じます。擲弾兵も一体となって対戦車戦闘を行いましたが、結果はまたもドイツ軍の突撃砲2ユニットが壊滅します。
 
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この危機に、ドイツ軍は砲兵で前線の敵歩兵を敗走させると、自由を得た装甲兵力と増援を南北に投入します。さすがに集中した装甲部隊は強力で、敵の先鋒である戦車旅団(T34)に2ヒットの打撃を与え、戦線を沈静化します。
 
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第5ターンも同様に、局地的に優位に立った装甲兵力で、敵の主力である戦車旅団を狙いましたが・・・ああ、ここで誤算が。確率的には有利だったはずの戦車戦で、敵を敗走させるも、またも2ユニットが犠牲に。しかも1ユニットは、最南部の防衛の支柱であるSS装甲中隊(クーニッヒティーガー装備)!まずい、ドイツ軍装甲兵力の消耗が早すぎる!
 
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これに勇気を得たソ連軍は、視界が悪化するにも関わらず、薄暮ターンに北部で戦車戦を挑み、4号戦車中隊を撃破します。
 
と、ここで夜の帳が降り、戦闘は一時中断に。この時間に陣地転換の余裕を得たソ連軍砲兵が、ゼーロフ高地全体を収める位置まで前進してきます。
 
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明けて第8ターン、再び、暴力的なまでの砲撃がドイツ軍の非装甲ユニットを襲います。ユニット数が少ない戦線の南北を狙って、全て17火力を越える高火力砲撃!結果、4つの目標全てが潰走し、突破口が開きます。
 
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夜明け間近の薄明かりで移動に難を来しながらも(移動力1/2)、戦車兵力が敵の陣地に殺到し、守りにつくドイツ軍戦車と激烈な戦車戦に。ここでもソ連軍が数で圧倒し、またもや装甲兵力2ユニットがヴァルハラ行きになります。続く戦闘フェイズに、南北戦線の要となる村を奪取。
 
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砲兵による撤退掩護をうけて、かろうじて後退したドイツ軍に、第9ターン、ソ連軍の猛砲撃と戦車突進が繰り返され、砲兵陣地まで巻き込まれる事態に!
 
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この危機に、ドイツ軍の機動防御が芸術的な光を放ちます。周到に計算された撤退砲撃に紛れ、SS戦車と駆逐戦車の4個中隊が最前線のT34を襲撃!正確かつ猛烈な対戦車戦闘でわずか2時間で、敵の1個旅団をスクラップにしてしまいます。そのまま、敵が消えた戦場を支配し(戦闘後前進)、さらに1個旅団を包囲し、次ターンに壊滅させます。わずか1個中隊の損害と引き替えに、敵の2個旅団を殲滅!まさに、ドイツ装甲部隊の最後の輝きでしょう!
 
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が、この結果、ギリギリの戦力で支えていた北部で、破滅が訪れます。わずか2個中隊(!)にまで減少していた第20装甲擲弾兵及びミュンヘベルク師団の生き残りは、ゼーロフ郊外で絶望的な防衛戦を試みますが、JS3を中核とする6個旅団(!)に圧倒され、壊滅。擲弾兵による抵抗も空しく、第10ターンに、ついにゼーロフ市が陥落します。
 
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もはや、ゼーロフ奪還は不可能と判断したドイツ軍は、敵の決定的な突破(勝利条件)を防ぐため、ディーデルドルフ近郊に防衛線を張ります。
 
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圧倒的な戦力を持つソ連軍でしたが、最後まで義務を果たして前線の歩兵を砲撃し続けたドイツ軍砲兵と厚い装甲で戦車戦を耐え抜き、後退しながらも突破を許さなかったSS戦車中隊(わずか1ユニット!)により、要衝ディーデルドルフは陥落せず。両軍とも膨大な損害を出したゼーロフ高地の戦闘は、夜の帳とともに幕を下ろしました。 
 
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勝利判定では、
ゼーロフ市の全ヘクスの占領により、ソ連軍の作戦的勝利
となりました。
 
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イメージは、2日間の戦闘で壊滅したユニット。「生きて帰らず」
 
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ゲーム的な展開としては、序盤を除き、圧倒的な兵力を持つソ連軍がドイツ軍を平押しするもので、ヴァリエーションはほとんどありません。が、移動制限が厳しいため、ソ連軍は集中した戦車旅団の運用を、ドイツ軍は撤退砲撃と組み合わせた装甲兵力による反撃に知恵を絞ることになり、作戦戦術級の楽しさを味わえます。
 
ちゅっと癖のあるシステムなので、インストには向きませんが、総じて山﨑デザインらしい「正しい歴史展開」のアイテムです。ミニゲームの割りにはボリュームもあり、史実好きの方にはいいでしょうね~。

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